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「あれ、テヒョン？珍しいね」
「お前に会いに来がてら偵察しに来た」
「ほぼほぼなお目当ては後者でしょ、サイテー」
俺の高校から徒歩で約20分、たまたま駅で会ってナンパして"そういう関係"になったソラが通う女子高に俺は来ていた。
「まあ彼氏がいながら俺と関係を持ってるお前もお前でサイテーだけどな」
「ふ、お互い様じゃん？」
「俺は恋人はいねーから」
「私みたいなフレンドは他にもいるでしょ？」
まーね、そう言って鼻で笑うと「私らサイテー同士じゃん」なんて言ってソラは笑った。
友達以上、恋人未満？いや友達でも何でもないお互いに興味があるのはお互いの体だけ。世の中にこんなに女がいても体の相性が合うのってなかなか見つかんないから俺なりに彼女には感謝してるが。
「偵察って言ってもさすがに女子高には入れないし諦めたら？さっさと私の家にいこーよ」
「ん〜〜ま〜、そうか」
好みの女いねえかな、なんて思ってワザワザ来てみたけどずっとここにいるわけにはいかないし、ていうかメンドくさいし。そう諦めて歩き出そうした、その時だった。
「......テヒョン？どうしたの、ボーッとして」
「いや、あれ、誰」
「え？......あぁ。あの子ね」
目線の先には艶やかな黒髪をなびかせ俺の前を横切っていく女がいた。綺麗な黒髪は真白い肌を強調させる。瞳は薄い茶色で長い睫毛、少し小ぶりな鼻。
ドクン、と胸が高鳴った。こんなの、初めてだ。今まで一度として恋なんてしたことなかったのに、むしろそんなもの分かるわけないと思ってた。
胸が、苦しい、
欲しい、あの子が欲しい。
「やめときな、あの子彼氏いるから。しかも超イケメン。毎日迎えにも来てるし、あの子を女子高に入れたのもその彼氏だって言われてる。多分相当束縛が激しいと思うよ......って、ハァ」
そんなのどうでもいい。欲しいものはなんとしてでも手に入れる。彼氏？束縛？関係ない。俺のものにしちゃえばいいだけの話じゃん。
思ったら即行動。
「ねー」
声を掛けると一瞬ビックリしたように目を見開かせてキョロキョロと辺りを見回す。あ、困ってる。かわい。
「ねー、君だよ？」
「えっ！」
わ、私ですか、と自分を指差す彼女に「うん、そーそー、君」と面白がるように笑って言うと、
「し、知り合いでしたか！？」
何故かテンパりはじめた。
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作者名：かゆ | 作成日時：2019年12月9日 0時
