No. 7 プロヒーローの娘 ページ10
先日受け取った校内の見取り図を頼りに
指定された教室へと向かう。
多種多様な個性を持つ生徒たちの利便性を考えて、校舎内は広く設計されているため、普通に歩いているだけでも迷いそうになる。
『お？あったあった1-C』
クラス分けは、どうやら入試の順位を基準にしているらしく、
上からC組、D組、E組の順番で決めるそうだ。
まぁ “特例”で入試を受けた私には、あんまり関係のない話だけどね。
教室に入ると、
案の定他のクラスメイトから珍しいものを見るような目で見られる。
「あの娘って、プロヒーローのアースファングの子供だよね？」
「なんで普通科に来てんの？普通ヒーロー科に行くっしょ」
想定はしていたものの結構つらいなコレ。
私は黒板に貼られている席順を確認すると、特に反論はせず自分の席に座った。
人の噂も75日。
自然に噂が収まるまで、何も言わないほうがいいだろう。
『はぁ、なんか一気に気が重くなったな』
「……お前って、アースファングの娘だったのか」
『はいはい。そうですけど何か……って、え？誰？』
唐突に話しかけられ、キョロキョロとあたりを見渡す。
「隣だよ。悪い、急に話しかけて」
「いいのいいの!!わたしがボーッとしてただけだから気にしないで!!」
左隣の席に目をやると、まぁまぁ目立つ紫髪の男子生徒がいた。
考えごとをしていたせいで気がつかなかったようだ。
「なぁ、なんで普通科に来たのか聞いてもいいか？嫌なら答えなくていい。
個人の事情に首を突っ込む気はないから」
『あぁ別にそんな大層な理由があるわけじゃなくて、単純にヒーローに向いてないなーと思っただけ。雄英に入ったのは気が変わったときに、途中でヒーロー科目指すこともできるからって、父さんが言ってたから』
嘘は言ってない。
自分の個性も性格もヒーローに向いていないことは確かだし、雄英に入った理由も矛盾したものじゃない。
なんて今は考えなくてもいい相手なんだけど。
「へぇ、じゃあライバルだな」
『ライバル？あーキミもヒーロー科への転入狙ってる感じ？』
「うん、そんなとこ。やるからには全力で頑張るつもりだから」
『そっか』
いかにもヒーロー志望って感じ、羨ましいなぁなんて。
まぁここにいる大半は、ヒーロー科に入れなかったけど希望は捨てたくない人ばかりなんだろうけど。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 18人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：蜜柑星 | 作成日時：2020年12月4日 22時
