捌 ページ8
.
『 いつもニコニコと笑っているけど、心はからっぽ.
笑っているけど、笑っていない. 』
「 ……何を言っているんだい? 」
ほんと、何言っているんだろう.
自分でもよく分からない.
けれど、最近思うことがある.
綺麗な虹色の瞳の奥はどこか寂しそう.
『 教祖様だっけ…、
色々な人を導き、救っているんだよね 』
「 そうだよ. 」
『 童磨の方が誰よりも救われたそうな感じがするけどね 』
「 ……ッ 」
ゆっくり、童磨の頬から手を離す.
いや、離そうとしたけれどそれを阻止された.
冷たい手が重なる.
『 ……ッ 』
きっと、童磨は平凡な家庭に生まれてくれば
教祖になんてならなかったし、鬼にもならなかったのかもしれない.
よっぽど貴方の方が可哀想だよ.
『 ……ッゴホッ...ヴ...ゲホッ 』
空いている方の手で口元を押さえる.
最近、また息苦しくなった気がする.
うまく呼吸を整えるのも難しい.
「 ……Aちゃんは、肺が弱いんだ? 」
『 ええ、生まれつきね. ゴホッ...ウッ 』
喉の奥から生暖かい液体が出てきた.
掌を見れば、赤い液体が付着していた.
喀血?
『 ……ッ 』
即座に童磨を押し退け、彼の前から離れた.
喀血でもれっきとした血だ.
「 ……へぇ、甘くて美味しそうな臭い 」
一瞬にして目の前に現れた童磨.
ぐっと腕を掴み、童磨の口元にもっていかれる.
『 やめてッ 』
喰われると確信したとき、
血の付いた掌に童磨の舌が這わされた.
『 ンッウ… 』
ぞくり、と変な感覚が背中を走る.
「 んー、やっぱり美味しい 」
血を舐め取れば、舌なめずりする童磨.
「 本当は今すぐにでも食べたいくらいだけど、
メインディッシュはお楽しみにしないとねぇ.
今日はこの辺で戻るとするよ.
じゃあ、また来るねぇ,」
ニヤリと笑うと、童磨は暗闇のなかに消えて行った.
『 ……なん、なの 』
力が抜け、その場に膝から崩れ落ちた.
『 ゲホッゲホッ… 』
また、血が……、
もう時期なのかな、
明日、しのぶの所に行こう.
最後に色々と伝えないと____
.
601人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
m - 夜遅くにすみません。先程、刀鍛冶の里編を見てきました。そのせいか、物語がより綺麗に見えて鬼を本当に好きになれました。この作品を知った時と鬼滅の刃を好きになった時は違いますが今、この作品に会えて嬉しいです。この作品を作ってくださりありがとうございます。 (2023年4月10日 1時) (レス) @page17 id: 6abbe396c0 (このIDを非表示/違反報告)
蒼(プロフ) - 数年後からこんにちは(?)めちゃくちゃ泣きました…。キメツ学園とかの世界線で二人がまた出会えていると良いなぁ…(解釈違いだったらすみません) (2023年3月14日 1時) (レス) @page17 id: 699f0917a9 (このIDを非表示/違反報告)
きのこ(童磨推し) - 泣けました。すごく感動しました。大好きです!! (2020年5月16日 12時) (レス) id: 5357f72739 (このIDを非表示/違反報告)
リャオトン(プロフ) - メッチャ泣けました( ; ; )ハッピーエンドも好きだけどこういう終わり方が1番切なくて好きですTT本当に泣けましたありがとうございました!次も頑張ってください! (2020年4月22日 23時) (レス) id: 4ccf657d3b (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこ - 今更凄いですけど、この作品で、人間と言うものはとても尊い者なんだと気付きました。とっても感動しました。 (2020年4月1日 5時) (レス) id: e646d1c815 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:まっちゃろん | 作成日時:2019年11月11日 17時