最 後 の 願 い 。【童磨】

拾肆 ページ14

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地面に咲き誇る彼岸花.



暖かくて、柔らかい風がそっと揺らす.










ここは、天国？





「 A 」



『 カナエさん！ 』





優しく笑うカナエさんが居た.



一目散に彼女の元へ駆け寄る.





「 A、ありがとう


あの願いを叶えようとしてくれて」





『 …ｯ……、 叶えられたのかな… 』





本当に鬼と仲良くなれたのだろうか.



それは不確かなこと.





「 なれなかったら、
きっと今頃あの鬼に喰われていたんじゃないかな 」



『 …… 』





童磨、私を食べていないの？



なんで＿＿＿＿＿＿





.




「 …… 」





A、



鬼と仲良くなろうとしてくれて本当にありがとう.










Aは気付かないうちに、あの鬼に毒を植え込んでいたのね.





＿＿＿＿‘ 愛情 ’という名の毒を.









愛の呼吸を使っていた貴方だから出来たことなのかもしれないわね.





無意識のうちに相手に愛を与えるちょっと特殊な能力＿＿＿＿




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『 鬼は……、童磨はまだ生きているよね？ 』



「 ……そうね 」















『 きっと童磨もいつか頸を斬られるよね. 』



「 A…… 」








『 来世は、ちゃんとした人間に生まれてきて欲しいな.
平凡な家庭に生まれて、立派な大人になって… 』










人間が、鬼に恋をするなんて本来はあってはならないこと.



でも、鬼だって本来は人間だった.





同じ人間なのに、住む世界が違うだけなのに.



住む世界が違うから、仲良くなれないんだろう.



それは、人間同士の戦争だって同じ.





手と手を取り合うなんて＿＿＿＿









「 きっといつか、手と手を取り合えると思うわ.
だって、鬼と仲良くお喋りしてたんだから 」



『 ……カナエさん… 』










優しい風がそっと髪を揺らす.





ねぇ、童磨.



いつかまた、楽しいお話をたっくさん聞かせてよね.










一緒に、日の下を歩こう＿＿＿＿










それは、先は長いかもしれないけれど



＿＿＿＿童磨への最後の願い.





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