壱 ページ1
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「 やぁ、こんばんは. 今夜は月が綺麗だねぇ 」
ああ、私はここで死ぬのだと確信した.
ヘラりと笑う目の前の鬼.
頭から血を被ったような容姿.
その鬼の瞳は七色に輝き、【上弦】と【弍】の刻印.
月明かりを背景に私の視界に飛び込んできた鬼を、
不覚にも綺麗だと思ってしまった.
『 どうも、鬼さんこんばんは 』
鬼は、笑顔を絶やさずに首を傾げている.
「 あれ、怖がらないんだねぇ? 」
『 これまでに鬼は何体も見てきましたからね. 』
目の前に上弦の鬼が居ようとも怯まなかった.
この場で、この鬼に食べられる可能性は高確率だとしても構わなかった.
____どうせ、私はいずれ死ぬのだから.
「 君は鬼殺隊なのかなぁ? 」
『 元、鬼殺隊よ. 』
「 へぇなるほどね. 」
面白い子、と笑っている.
『 ねぇ、上弦の鬼さん. 私を食べるんですよね?』
「 まるで俺に食べられることを期待してるみたいな言い方だね 」
『 ええ、そうよ. 私は病気でいずれ死ぬからね.
生きててもあまり意味無いでしょう?
だったら、鬼に喰われて人生終わらせるのも面白いと思ってね. 』
本心では無かったが、淡々と話す私を見て
鬼は少しばかりポカンとしている.
鬼ってこんな顔するんだ、意外.
そう思った刹那、
にんまりとした笑みを浮かべた.
「 君みたいな子は初めてだ!とっても気に入っちゃったよ!
君、病気で死ぬんだよね?
だったらその死に際を俺が綺麗に食べてあげるよ.
最後の息の根を鬼に仕留められるのも面白いんじゃないかな〜 」
『 ……は? 』
何を言ってるんだ、この鬼.
所詮は鬼だな. 言っていることが意味不明.
「 俺の名前は童磨. 君は? 」
『 ……A 』
「 Aちゃんか〜、よろしくね!」
また来るからね、と言って鬼__童磨は消えた.
『 …なんなの、あの鬼 』
__厄介な鬼に気に入られてしまったようだ.
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m - 夜遅くにすみません。先程、刀鍛冶の里編を見てきました。そのせいか、物語がより綺麗に見えて鬼を本当に好きになれました。この作品を知った時と鬼滅の刃を好きになった時は違いますが今、この作品に会えて嬉しいです。この作品を作ってくださりありがとうございます。 (2023年4月10日 1時) (レス) @page17 id: 6abbe396c0 (このIDを非表示/違反報告)
蒼(プロフ) - 数年後からこんにちは(?)めちゃくちゃ泣きました…。キメツ学園とかの世界線で二人がまた出会えていると良いなぁ…(解釈違いだったらすみません) (2023年3月14日 1時) (レス) @page17 id: 699f0917a9 (このIDを非表示/違反報告)
きのこ(童磨推し) - 泣けました。すごく感動しました。大好きです!! (2020年5月16日 12時) (レス) id: 5357f72739 (このIDを非表示/違反報告)
リャオトン(プロフ) - メッチャ泣けました( ; ; )ハッピーエンドも好きだけどこういう終わり方が1番切なくて好きですTT本当に泣けましたありがとうございました!次も頑張ってください! (2020年4月22日 23時) (レス) id: 4ccf657d3b (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこ - 今更凄いですけど、この作品で、人間と言うものはとても尊い者なんだと気付きました。とっても感動しました。 (2020年4月1日 5時) (レス) id: e646d1c815 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まっちゃろん | 作成日時:2019年11月11日 17時