処方箋.08 ページ9
男は、だんだん吸い込まれていく。
足が消え、手も消え────
「……“見”えた」
男が完全に消え去る一瞬、こっちを見た。
赤い目と目が合った為、“見”ることができた。
……けど、これは……
「ごめん、“個性”しかわからなかったんだけど……“個性”、『崩壊』」
「“崩壊”？」
「うん。 あまり詳しくは見られなかったんだけど、多分、触れたものを壊すことのできる“個性”……」
「俺、ちょっと先生のところに行ってくる！」
「俺はみんなのとこに……Aは？」
「私はここで待ってるよ」
「わかった」と言うが早いか二人は屋上を出た。
さすがビック3。
咄嗟の行動力が違う。
二人が立ち去ると────私は膝から崩れ落ちた。
“個性”を使おうと躍起になったせいだろう。
太陽を見た後のように目がチカチカして痛い。
けれど、そんなことよりも……
「なに、あれ……」
──私の“個性”、『情報分析』は対象が強く願ったり、思い描く“
そして、あの男にもそれがあった。
ギラギラと光る獰猛な赤を見た時、男の“個性”よりも先に見えたもの……
さっきの男と、黒い靄のようなもの、もう一人────人と呼べるのかもわからない、顔もない異形なモノが────
────傷まみれでひれ伏しているオールマイトを前に、立ちふさがり、残忍に笑っているイメージ………
ゾッとした。
相手が強く思い描くほど、私ははっきりと見ることができる。
……鮮明に見えてしまったあのイメージが、瞼の裏に焼きついて離れそうになかった。
その後、ミリオが報告したことにより私たちは先生方に事情聴取された。
外見、“個性”。
その他、どんなに些細なことでもいいから教えてくれ、と。
私は、トラウマを焼き付けられたと同時、先生に感謝されたので、口では社交辞令を言いつつも、正直複雑だった。
そんな折、6時間目の「ヒーロー現代史」の授業後、相澤先生に放課後のお呼び出しをくらった。
……この前のこともあり、先生とは少し気まずいのが本音だがそういうわけにもいかない。
先生だって大人だ。
気にしているのは私だけだろう。
「失礼します────」
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つめきわに - 違うお話ですみません。コメント失礼します。かりそめて接吻のパスワードはお教えいただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。 (2021年3月23日 23時) (
レス) id: fa5f26b543 (このIDを非表示/違反報告)
エイブル(プロフ) - ゆづしおさん» ぐはぁっ！「大好き」だなんてそんなありがとうございます！「先生の字が欲しいです！」って夢主様が言ったら「合理的じゃない」云々言いそうですけど、結局は書いてくれそうですよね…尊い…… (2020年3月7日 12時) (レス) id: ec408804c6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆづしお - この小説、心情描写がもう素晴らしくて大好きです…！！……あ、相澤先生の生字…金出してでも欲しいですな、10万までならOKですけど…プライスレスですよねぇ… (2020年3月6日 21時) (レス) id: a103d81c3f (このIDを非表示/違反報告)
エイブル(プロフ) - 絢兎さん» 順番前後してしまいすみません！教師から生徒……書いていて最高です笑 (2020年3月6日 21時) (レス) id: ec408804c6 (このIDを非表示/違反報告)
エイブル(プロフ) - xxvl6w6lvxxさん» 返信遅くなりすみません！相澤先生の字、生で見てみたいですよね……お気持ちすっごくわかります！ (2020年3月6日 21時) (レス) id: ec408804c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Able | 作者ホームページ：
作成日時：2019年12月26日 17時
