処方箋.03 ページ4
こういうとき、何を選べばいいのかかなり迷ってしまう。
「……ネギトロおにぎり美味しそう……けどパスタも譲れない……」
これは困った、とブツブツつぶやきながら首を傾げた。
春らしい麗らかな休日。
三年生になって急に増えた課題をせっせとこなしつつ、気晴らしにお昼を買いに近くのコンビニにやってきたのだが、かれこれ十数分は食品コーナーの前を右往左往している。
これはよくない。
他のお客さんの迷惑になってしまうと思いつつも、決まらないものは決まらない。
とっさの判断力には自信があるのだが、時間をかけて何か一つを選び出すのが苦手だ。
服なんかも、何時間もかけてやっと一着選べるぐらいだから、大抵は家族か友達に選んでもらう。
「……合理的に決めよう……時間は有限……帰ったら勉強」
「悩んでるその時間がまず合理的じゃない」
「っわ、」
横からぬっと顔を出したその人に、思わずよろめく。
「え────あ、相澤先生……！？」
「やあ、こんにちは」
「は、はい、こんにちは……？」
いつもの捕縛武器はなく、黒のスウェットを着て、ポケットにズボンを手を突っ込んでいる先生。
し、私服……何か新鮮……
「先生も何か買い物ですか？」
「ああ、ゼリー飲料買いにな」
バランスの良くない食事に、思わず眉を顰める。
こういうとき、相手が先生じゃなかったら食事にでも誘うのに。
先生の立場を
「健康に良くないですよ。毎日毎日ゼリー飲料」
「……なんで俺が毎日ゼリー飲料食ってるって知ってんだ」
食品コーナーの脇にあったゼリー飲料に手を伸ばしていた先生が、私の言葉にピタリと止まる。
……しまった。
余計なことを。
「いや、その、うーんとですね……」
「別に隠すことないだろ。どうせ、“個性”使って俺のこと見たんだろ？」
先生の問いかけに、私は「ウッ」と言葉に詰まる。
「図星か」
先生は、愉快そうに口の端を吊り上げた。
「……勝手に見てすいません」
「今さらだろ。別に気にしてない。 それよりも、昼飯、結局どれにするんだ」
「え、うーん……」
もはやどの商品も私を誘っているようにしか見えない。
かくなる上は……
「私もゼリー飲料にしましょうかね」
「駄目に決まってんだろ」
意気込んだ私は、先生によって素早くへし折られた。
いやいやいや、棚上げって言葉知ってます？
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つめきわに - 違うお話ですみません。コメント失礼します。かりそめて接吻のパスワードはお教えいただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。 (2021年3月23日 23時) (
レス) id: fa5f26b543 (このIDを非表示/違反報告)
エイブル(プロフ) - ゆづしおさん» ぐはぁっ！「大好き」だなんてそんなありがとうございます！「先生の字が欲しいです！」って夢主様が言ったら「合理的じゃない」云々言いそうですけど、結局は書いてくれそうですよね…尊い…… (2020年3月7日 12時) (レス) id: ec408804c6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆづしお - この小説、心情描写がもう素晴らしくて大好きです…！！……あ、相澤先生の生字…金出してでも欲しいですな、10万までならOKですけど…プライスレスですよねぇ… (2020年3月6日 21時) (レス) id: a103d81c3f (このIDを非表示/違反報告)
エイブル(プロフ) - 絢兎さん» 順番前後してしまいすみません！教師から生徒……書いていて最高です笑 (2020年3月6日 21時) (レス) id: ec408804c6 (このIDを非表示/違反報告)
エイブル(プロフ) - xxvl6w6lvxxさん» 返信遅くなりすみません！相澤先生の字、生で見てみたいですよね……お気持ちすっごくわかります！ (2020年3月6日 21時) (レス) id: ec408804c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Able | 作者ホームページ：
作成日時：2019年12月26日 17時
