処方箋.01 相澤消太 ページ1
───初めて彼女を見たとき、なんて綺麗なんだと思った。
ただでさえ新年度というだけでバタバタと忙しいのに、一年の担任を持ち、忙しさに拍車をかけていた四月の最中。職員室でぎりぎりまで仮眠をとると(これについてはよく香山さんに注意される。前は山田にも言われていたが、一向に言うことを聞かない俺を見て諦めたようだった)、経営科の「ヒーロー現代史」の授業ということでチャイム三十秒前に三年E組の教室に入った。登壇し、出席簿に書き込んで授業を始めてすぐに目についた。
出席番号順に並んでいた席の真ん中の列の後ろから二番目。あの最初に見た時の衝撃は今でも忘れない。頭をガツンと思い鈍器で殴られたような衝撃。人は、本当に綺麗だと思うものを見るとこうなるのかと後になって思った。
あまり目の肥えてない自分でもわかるぐらいには彼女は、容姿も確かに秀でていたが、それよりも彼女の目に惹かれた。澄んだ海(サンゴ礁のある暖かいところ)を連想させるブルーに、サファイアなんかの宝石を嵌め込んだような瞳。その目を見たとき、思わず惹き込まれた。周りの景色が妙に遠退いてそれしか目に映らないような感覚。冗談でもなんでもなく、吸い込まれるかと思うくらいに彼は惹きつけられた。確かにパチリと目が合って、刹那吸い込まれて喋っていた言葉がまごついた。
それから無意識に、消太は彼女を目で追っていた。
週に三回ある彼女のクラスでの「ヒーロー現代史」の授業で、彼は前で喋っていて、彼女は彼を見ている。少し目を合わせると、彼はスッと視線を逸らす。そんなもどかしいような関係が続いていた。
あの目を、ずっと見ていたい。あの目に、俺だけを映していたい。
そんな初恋をした男子が抱くような胸を燻ぶる想いをしては、彼の理性が冷静に駄目だと訴える。彼女のあのブルーの瞳を見ているだけで鼓動は幾分早く脈打ち、どんどん彼は彼女に惹かれていく。磁石が対極に引かれるように惹き寄せられるので、彼は少しばかり深夜に、引力でも働いているのではないかと合理性をモットーとする彼らしくないことを考えた。もちろんすぐに打ち消した。
あいつは生徒で、俺は教師。
あいつは未成年で、俺は大人。
それが彼が彼女を好きになっていけない充分な理由となって───手遅れかも知れないが───彼を蝕む。頭ではわかっているのに、体は言うことを聞かない。本能とでもいうようなそんな不自然な現象が起きて、視線は無意識に彼女の方に向いていて、気を抜けば手を伸ばしてしまいそうになる。
それは、例に漏れず今もそうだった。本当は、生徒のことは
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つめきわに - 違うお話ですみません。コメント失礼します。かりそめて接吻のパスワードはお教えいただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。 (2021年3月23日 23時) (
レス) id: fa5f26b543 (このIDを非表示/違反報告)
エイブル(プロフ) - ゆづしおさん» ぐはぁっ！「大好き」だなんてそんなありがとうございます！「先生の字が欲しいです！」って夢主様が言ったら「合理的じゃない」云々言いそうですけど、結局は書いてくれそうですよね…尊い…… (2020年3月7日 12時) (レス) id: ec408804c6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆづしお - この小説、心情描写がもう素晴らしくて大好きです…！！……あ、相澤先生の生字…金出してでも欲しいですな、10万までならOKですけど…プライスレスですよねぇ… (2020年3月6日 21時) (レス) id: a103d81c3f (このIDを非表示/違反報告)
エイブル(プロフ) - 絢兎さん» 順番前後してしまいすみません！教師から生徒……書いていて最高です笑 (2020年3月6日 21時) (レス) id: ec408804c6 (このIDを非表示/違反報告)
エイブル(プロフ) - xxvl6w6lvxxさん» 返信遅くなりすみません！相澤先生の字、生で見てみたいですよね……お気持ちすっごくわかります！ (2020年3月6日 21時) (レス) id: ec408804c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Able | 作者ホームページ：
作成日時：2019年12月26日 17時
