処方箋.20 ページ21
林間合宿の襲撃から始まり、オールマイトの引退。
この夏休みは、どの夏休みよりも濃かった。
新学期。
夏休み明けって感じは全然なくて、むしろみんなピリピリしている。
来週には模試が入っているし、私も悠長にはしてられない。
相澤先生とは、日が経つにつれ距離が開いていった。
それは、私が先生の受け持つ「ヒーロー現代史」のわからないところがなくなって、質問に行かなくなったからかもしれないし、先生と授業中に全く目が合わなくなったからかもしれない。
正直、私自身第一志望に受かるため、恋愛に現を抜かしている時間も、心の余裕もない。
……それでも、気持ちが冷めたわけではなかった。
先生がいたら目で追ってしまうし、何気ない仕草にきゅんとしたりなんてする。
職員室に行った際には、必ず先生を探している。
飽く間で教師と生徒。
きっとこれが、この恋愛の正しい距離感なんだろう。
時が経つのは早く、十二月。
いよいよ大詰めに入り、みんな必死だ。
待ち受ける壁が、就職であろうと受験であろうと。
生活のリズムを崩さないように心がけているものの、四日に一度ほど遅くまで勉強してしまう。
先ほどの面談の際、スナイプ先生にも言われた。
体調管理に気をつけろと。
しっかりしないと！
大丈夫！
やることはやった！
私は受かる！
きっと！
「───A、」
「……え？」
聞き間違えるはずのない声で、名前を呼ばれて、振り返る。
私は目を見開いた。
「っ相澤先生……」
さっきまでの気張りなんかが、音もなく抜けていって。
なぜだかすごく、泣きたくなった。
私、あなたが好きなんです。
他でもない───あなたのことが。
猛烈に、そう言いたくなった。
「……久しぶりな気がするな」
先生は、何でもないように話始めた。
まるで、私の名前なんて口にしてなかったように。
けど、私が聞いたのは幻覚なんかじゃない。
そう言える根拠が、確かに私の目には映っていた。
106。
先生の今の一分間の心拍数。
異様に早い。
「最近話してないからじゃないですか？ 少しだけ───寂しかったです」
私も知らないふりをした。
あなたがなかったことにしたいなら、私も合わせます。
───ただではないですけど。
「……確かにそうかもな。 そういえば古文、大丈夫なのか。 前から苦手だったろ」
「苦手意識は変わりないですが、点数はキープできるようになりました。 あとはこのまま本番まで現状維持です」
「……そうか」
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つめきわに - 違うお話ですみません。コメント失礼します。かりそめて接吻のパスワードはお教えいただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。 (2021年3月23日 23時) (
レス) id: fa5f26b543 (このIDを非表示/違反報告)
エイブル(プロフ) - ゆづしおさん» ぐはぁっ！「大好き」だなんてそんなありがとうございます！「先生の字が欲しいです！」って夢主様が言ったら「合理的じゃない」云々言いそうですけど、結局は書いてくれそうですよね…尊い…… (2020年3月7日 12時) (レス) id: ec408804c6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆづしお - この小説、心情描写がもう素晴らしくて大好きです…！！……あ、相澤先生の生字…金出してでも欲しいですな、10万までならOKですけど…プライスレスですよねぇ… (2020年3月6日 21時) (レス) id: a103d81c3f (このIDを非表示/違反報告)
エイブル(プロフ) - 絢兎さん» 順番前後してしまいすみません！教師から生徒……書いていて最高です笑 (2020年3月6日 21時) (レス) id: ec408804c6 (このIDを非表示/違反報告)
エイブル(プロフ) - xxvl6w6lvxxさん» 返信遅くなりすみません！相澤先生の字、生で見てみたいですよね……お気持ちすっごくわかります！ (2020年3月6日 21時) (レス) id: ec408804c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Able | 作者ホームページ：
作成日時：2019年12月26日 17時
