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*yoohei side





「どうして私が洋平さんの役に立ちたいって思うか
分かりますか?」




口唇を離したあと、
切なそうに俺を見上げる彼女の瞳に
心臓の鼓動が大きく跳ね上がった。




それって、もしかして・・・




意味深な言葉に期待して、
今度は鼓動が高鳴った。




組み敷かれて
抵抗しなかったことも


染める頬も
揺れる瞳も


香り立つ匂いも




怖かったことが理由じゃないとしたら。




・・・同じ気持ちでいてくれてるの?




一瞬喜びそうになって、
だけどすぐに
その先は言わないでくれって思った。




その気持ちを聞いたら、
知ってしまったら、


俺たちはもう一緒には居られない。




相手の気持ちを知ったから
通じ合ったから
想い合っていたから


それで丸く収まる問題じゃない。




種族違いの恋なんて聞いたことがない。




同じ時を歩めないことで
彼女を苦しめるかもしれない。


許されない愛に、
他の奴に奪われるくらいなら自分の手でなんて
最悪な展開が頭を支配してしまうかもしれない。


他人の血を未だに飲むことが出来ない俺の身体が
渇きに耐えられず、
いつか理性のたがが外れて
彼女の血液を吸い尽くしてしまう可能性だってある。




そうしたらもう、自分の気持ちを押し殺して
気付かないフリをするしかなかった。




「・・・さあ、・・全然分かんない」




そんな思いで発した言葉のあとに
彼女の口から聞かされたのは、
俺を好きだというセリフだった。







“ 洋平さんのこと、、好き、だ、から ”







「・・・ッ、、」




昨日重ねた口唇の、あの柔らかな感触が蘇って
手の甲で力いっぱい自分の口を拭った。




匂いがするからあんなこと思い出すんだ。




あんなに大好きだった彼女の匂いも
今は忌々しいとしか思えなくて




彼女の匂いが微かに残るシーツやカバーを
ベッドから全て剥ぎ取った。




最初から間違っていた。


ヴァンパイアにとって人間は食料なのに、
それを愛すること自体が間違っていたんだ。




そう思うしかなかった。





*

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叢雲(プロフ) - remonedo0130さん» ご覧いただけたようで良かったです(^-^) (2019年4月23日 0時) (レス) id: 2d202b4602 (このIDを非表示/違反報告)
remonedo0130(プロフ) - ありがとうございます。無事に観覧できました! (2019年4月22日 22時) (レス) id: e8e3ac6beb (このIDを非表示/違反報告)
叢雲(プロフ) - remonedo0130さん» 初めまして。ご覧いただきありがとうございます。マイページの設定→コンテンツ設定からR18フィルタを確認してみてください。表示される設定にしてからログインした状態でunder groundで検索していただくか「この作者の全作品を表示」からご覧いただけると思います。 (2019年4月21日 20時) (レス) id: 2d202b4602 (このIDを非表示/違反報告)
remonedo0130(プロフ) - 初めまして。偶然こちらのお話を見つけて一気に読んでしまいました(*^^*)素敵なお話ありがとうございます。under groundも読ませて頂きたいと思ったのですがログインしてても見つける事ができませんでした(>_<)何か方法教えて頂ければ幸いです。 (2019年4月21日 11時) (レス) id: e8e3ac6beb (このIDを非表示/違反報告)
叢雲(プロフ) - 吉野さん» 完結しました〜。最後までお付き合いいただきありがとうございました。いつも楽しみにしていただいて励みになりました(^-^)続きについてはまだ何も思い浮かんでいないので思い付いたらの話になってしまうんですが、気長にお待ちいただけると幸いです(^_^;) (2019年4月7日 0時) (レス) id: 2d202b4602 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:叢雲 | 作成日時:2019年3月9日 0時

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