LAST MINUTE

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「A、お待たせ！」




私の頭上から降ってきたのは、
聞き馴染みはないけど
聞いたことのある声。




「待ち合わせ場所にいないからびっくりしたよ。
なんでこんなとこほっつき歩いてんの？」

「・・・」




昨日の今日で、
びっくりして声が出なかった。


どうしたらいいか分からなくて困ってたから
そんな時に現れてくれて、
安心したのもあるかもしれない。




「あ、ごめん。この人達、Aの知り合い？」

「・・・違、う」

「違うの？あの、彼女になにか用ですか？」

「いや、・・・別に」

「そうですか、じゃあ行こっか」




目の前にはそう言って微笑みかけてくれる
川上さんがいた。




川上さんは私の手を引きながら歩き出して、
絡んできた人達から少しずつ離れていくと




「なんだよ、マジで待ち合わせかよ」
「早く言えよな」




なんて、文句が聞こえてきて




「あの、川上さん」

「ん？」

「ありがとうございました。
今日も助けていただいて・・・」

「ん、気にしないで」




そう言いながら川上さんは私の手を引いたまま
どんどんと歩いていく。




え、と・・・、
さっきの人達からもだいぶ離れたと思うけど
いつまでこのままでいるのかな？




「あの、どこ・・行くんですか？」

「んー、そうだなあ。俺ん家でいい？」

「あ、あの、もう大丈夫だと思うので、
私、帰ります」




さすがにまたお家にお邪魔するのは気が引けて
そう答えると、


繋がれていた川上さんの手に
キュッと力が入った。




「あいつらまだ居るかもしれないよ？
ひとりでいるとこ見つかったらどうすんの？
今度は言い訳のしようがないでしょ？」

「それは、、そうですけど、、、」




結局、繋がれた手は離されることがないまま
川上さんのお家にお邪魔することになった。





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