LAST MINUTE

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川上さんへのお礼、どうしようかな。




そんなことを考えて街中を歩いていると
ショーウインドウに自分の姿が映って、
ふと、昨日のお風呂上りに見つけた
赤い痕を思い出した。




川上さんの家から帰ってすぐにお風呂に入って、
湯船に浸かったら首のあたりが少し沁みて。




痛いなって思って鏡で見たら
首筋に赤い痕がぽつりとふたつ。




なにこれ、・・・虫刺され？




でもこの時期に虫刺されとか
あんまり考えられないし、
特に痒くもならないし。




今朝もまだ残っていたあの赤い痕を
なんなのかなって思いながら指先で触れた。




ああ、そんなことより川上さんへのお礼を
考えなきゃ。




普通にお菓子とかでいいかな？


大人の男の人だし、
お酒でもいいかもしれない。


あとは猫ちゃんを可愛がってたから
猫グッズとかでも喜んでもらえるかなあ・・・。




そんな風に頭を悩ませていると、




「お姉さんひとり？」

「はい？」




あ、しまった。
考え事をしていたせいで反応してしまった。




見れば少しガラの悪そうな人たちで、
あー、無視しておけば良かったって思ったけど
後の祭り。




「俺たちと飯でも行かない？」

「行きません」

「なんでよー。腹減ってない？」

「・・・待ち合わせしてるんで」




なんて、嘘だけど。




「えー、誰と？友達？女の子？
それならみんなで遊びに行こうよ」




意外としつこくて、
思わずため息を漏らしたくなる。


嫌がってるんだから察してよ。




「行きません」

「なんだよ、少しくらいいいだろ！」




いきなりキレた男の人に腕を掴まれそうになって
ちょっとした恐怖を感じてきゅっと体を縮めた。




「ごめんねー、こいついきなりキレちゃって」

「これぐらいで怒ることないよねえ？」

「だってこの女がさー、」




ああ、もうヤだ・・・。
これ典型的なやつだ。


こうやって怖がらせて、一方で優しくして
頭が混乱してるうちに うやむやにして
連れてっちゃうつもりなんでしょ？




相当タチ悪そうだな。
なんで返事しちゃったんだろう。


簡単に離してくれそうにないし、
これからどうしよう・・・。




そう思った瞬間、誰かに手を取られて
グイッと後方に引っ張られた。





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