LAST MINUTE

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恐怖に負けて始めてしまった同棲生活だけど、
すべてを諦めてしまった訳じゃなくて
私にはもうひとつ別の目的があった。




それはヴァンパイアの弱点を探すこと。




最初はヴァンパイアって
どんな生活をしてるんだろうって思ってた。




だけど生活空間の中に
ヴァンパイアらしきものは一切なくて、
普通の人の生活と変わらなくて


唯一ヴァンパイアっぽいと言えば、
夜型の生活をしていることくらい。




洋平さんと私の就寝と起床の時間には
おそらくだけど3、4時間くらいの差がある。


私が寝ている間なら見られる心配もないし、
ヴァンパイアとしての活動もしやすいはず。
もしかしたらそこに何か秘密があるかもしれない。


遅くまで起きていて寝不足になるのは
次の日の仕事にも支障が出るし辛いけど、
そんなこと言ってる場合じゃないよね。




早いところ弱みを握って逃げ出したい。




このままじゃ私、死ぬまでこの人と一緒に
過ごさなくちゃいけなくなりそうだもん。


何としてもそこだけは回避しなくちゃ！




それにしても、これだけ探っても
怪しいものがないとなると




「・・・まさかソイちゃんは使い魔とか？」




こんなに可愛い猫でさえ疑って掛かりたくなる。




本人はコウモリに変身出来るくらいだし、
ソイちゃんまで人型になったりするんじゃ・・？




猫の缶詰をぺろぺろと食べているソイちゃんを
抱えあげて、
その顔をじっと見つめると
後ろで「ふはっ、」と吹き出す声がして




「ソイは普通の猫！
A、面白いこと言うね！」




そう言いながら顔にたくさんのシワを寄せて
洋平さんが面白そうにゲラゲラと笑った。




その笑い方を見て
やっぱりヴァンパイアらしくないって思う。




吸血鬼といえば線が細くて青白くて繊細そうで、
ダークでどこか影がありそうで、
笑った顔なんかは冷たく醒めてる感じでって
思ってたのに。




洋平さんのイメージは
どちらかと言えばその真逆。




笑顔は人懐こくて、
ヴァンパイアのイメージにありがちな
月というより太陽みたいで




本当に楽しそうに笑ってくれるから、
思わずヴァンパイアだと言うことを忘れて
なんだか気を許してしまいそうになる。





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