忘れな草の恋 27

27-19 吉と出るか凶と出るか ページ19

■ HeeChul ■

Aから聞けたのは子供、それも男の子供のｼﾙｴｯﾄとそいつに頭を撫でられる事。

ﾄｩｷﾞが言うように心の問題だと俺も思ったが、Aはそれにしっくり来ていない感じだった。

しかもどうしても自分の話だとは思われたくないみたいで誤魔化していたが、だからこそ俺は引っ掛かってしまう。

不思議だろうが奇怪だろうが、ただの夢だと思っているのであれば頑なに口を閉ざす必要はない。

自分で思う何かがあるからこそ言えないんだろう。

となれば…、自然にｳﾆｮｸの言葉と関連付けてしまう。

“次元が違う何かが起きている”

その夢は、それに関係しているんじゃないだろうか…ってな。

そうとなればｳﾆｮｸにも話す必要がありそうだ。

実際のところ俺一人で考えても埒が明かねーしな。

こんなもん酒が入ってなくても、何の答えも見出せずにぐるぐると同じ場所を回り続けてる気分だ。

話の内容も変わってしまったし、そろそろ出るかと思っていた時ﾄｩｷﾞが写真を撮ろうと言い出した。

それからﾋﾁｮﾙばかりずるいと言われて、若干出にくくなった。

だから部屋から出るのはもう少し後にしようと思った時、ﾄｩｷﾞが話を戻した。

ｲﾄｩｸ「昨日のAのmailが少し気になって。それで…今日泣いてたから何かあったんじゃないかと思って・・」

ﾄｩｷﾞのやつは、Aが今日泣いていた理由をどうしても知りたかったらしい。

俺もそれは気になっていたが、どうせ言わねーって。

案の定Aは何もないんだと言って笑った。

ほらな？そんな簡単に言える話じゃねーんだよ。

言えるならもう泣いてる。ﾘｸってやつの腕の中だけじゃなく、誰の腕の中でもな。

お前もよく分かってんだろうが。

まったく俺が大事にするやつは、素直に泣けないバカばかりだ。

ふう…と息を吐き出し、そろそろ出るか…と少し腰を上げた時だった。

ｲﾄｩｸ「・・僕の夢はね？何も知らずにこの鍵で、ある部屋の扉を開いてしまって中に入ると僕がいたんだ」

ﾄｩｷﾞは自分の夢の話をし出して、俺はそれも聞いておくかと思い、また腰を落とした。

お前のは心の問題だって分かってんだもんな。

こいつも自分の内に秘めている事を話して来ないから、こういう時でもないと聞けやしねーし。

お前はそれをAには話せる訳か。

別に俺が寂しいとかいうつもりじゃない。

それが…一概に良い事だとは思えない。

吉と出るか凶と出るか…どうなんだろうなって事だ。

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