27-01 何となく ページ1
■ A ■
イトゥクは自分の本名を名乗り白い歯を小さく覗かせる。
その笑顔は全く力んでない気がして凄く良い顔だった。
イトゥク「あ、それでこれ…Aが開けて?」
A「え?いいの?」
イトゥクは頷き、私の目の前にケーキではない何かが入っている箱を移動させた。
それでは…と、箱を開けてみると小さな箱みたいなものが入っていた。
A「わぁっ!可愛い!」
それはパン生地の様なもので出来ていて、そこに付いている薄桃色のりぼんもどうやら砂糖菓子で出来ているみたい。
後は生クリームや銀色とピンク色の大きさの違うアザランで綺麗にデコレーションされてある。
A「これイトゥ…あ、パク・ジョンスさんが作ったんですか?」
そう問い掛けた私だったが、何か変な感じになってしまった。
イトゥク「んー…っと。どうしようかな。一つずつ突っ込んでみても良い?」
薄っすらと眉根に皺を寄せたイトゥクに案の定突っ込まれる事になり、何となく予想は出来ているけど…と答える。
イトゥク「うん、だよね。本名で呼んでくれたのは凄く嬉しいんだけど…何でフルネーム呼びなのかな?」
A「すみません…何となく…、口から勝手に出てました」
イトゥク「それに“さん”まで付いちゃってるし、敬語だし。寂しいんだけど!」
A「ごめんね?それじゃあ、ジョンスとお呼びしても?」
恐る恐る聞いてみると、イトゥクからは「もちろん!」という言葉と満面の笑みが返って来た。
途端に脳が揺れる感覚に襲われ、目の前に見えるものに妙な現象が起きる。
一瞬だけイトゥクの顔がグニャリと歪んで…縦に流れる涙の筋が見えた。
イトゥク「A!大丈夫?!」
無意識の内に頭を押さえていた様で、イトゥクが顔を覗き込んで来たけれど頬は濡れていなかった。
そりゃそうだ。だって笑ってたじゃないか。
・・・ならあれは誰の涙だ…?
A「・・・・ウニョ…ク?」
イトゥク「えっ?」
A「え?ん?あぁ!ごめん!何か…軽い眩暈だと思う!」
イトゥク「…大丈夫?飲み過ぎ?それとも寝不足かな?」
A「あー、どちらかと言うと寝不足なのかも」
でも大丈夫だよと答えると、何でウニョクの名前を出したんだと聞かれた。
A「え…っと、それは…。何でだろう?」
いや、本当にただ何となく。ウニョクの様な気がしたから。
だって…、私はきっと、あの人の泣いている所をいっぱい見てるはずだから。
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モジョ(プロフ) - かのかさん» >かのかオンニ☆ ドンヘにやって貰っちゃいました!キュヒョンとはどうしようかって…まだ少し悩み中です(^▽^;) いつでも行き当たりばったりです(笑) だから長くなるのかも!話が終わった時、面白かったよと言って貰えるように頑張ります! (2013年8月11日 1時) (レス) id: 7f5f6342c2 (このIDを非表示/違反報告)
かのか(プロフ) - 27巻目!!!!そんな長い話し読んだのガラスの仮面以来やわ!名作の域だね!!!!(^^)d (2013年8月7日 22時) (レス) id: 071643b309 (このIDを非表示/違反報告)
かのか(プロフ) - うぉーー!!!!どんへ。やりおったな?さぁぁきキュヒョンはどう出る?楽しみ~~♪♪♪ (2013年8月7日 22時) (レス) id: 071643b309 (このIDを非表示/違反報告)
モジョ(プロフ) - かのかさん» >かのかオンニ☆ 本当は毎日更新したいくらいなんですけどね…。なかなか(^^;) 多分この一章で小説一冊分くらいの文字数なんですよ。ということはこの話27巻目って事なんです。本気でやばい(;°Д°) 何でこんなに長くなっちゃったんだろう…。フフフ…アハハ…(笑) (2013年7月31日 22時) (レス) id: 7f5f6342c2 (このIDを非表示/違反報告)
かのか(プロフ) - パーティーは楽し♪♪♪最近いっぱい更新してるやーん!進んでる進んでる、大丈V!!!! (2013年7月28日 7時) (レス) id: 071643b309 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:モジョ | 作成日時:2013年7月1日 23時