菓彩と品田のすれ違い ページ10
「Aは知らないか?」
生徒会会議を強制終了させた菓彩あまねは香椎Aが待っているであろう教室へとまっすぐ向かった。
教室に着きあまねは周りを見渡したが、視界に入る限りの範囲にAはいない。
「Aなら品田クンがどこかに連れて行ってたよ〜?」
きょろきょろと忙しなく瞳を動かすあまねに、クラスメートの1人があまねに声をかける。
「品田が?…どこに連れて行ったか知っていたりするか?」
「んーわかんないや」
ぽやぽやと笑った彼女はそのまま廊下に出ていこうとしたが、何かを思い出したのか立ち止まった。
「その2人が最近行っているのは、私の勘だけど屋上な気がするなぁ。
…ただの予想だけどね?」
そうあまねに向かって言い残した彼女は今度こそ廊下に出ていった。
「不思議な人だ…。」
あまねはクラスの中で左程目立たない彼女の背中を見つめて呟いた。
「とりあえず、品田のところに向かおう。
…まあ彼女の言っていた屋上に行ってみようか。」
少し考える素振りをしながらあまねは教室を出て滅多に行くことのない屋上へと続く階段の一段を踏みしめた。
「うーん…オレ、香椎に何かしてしまったか…?」
拓海は頭を抱えて呟いた。
屋上での気まずい空気を感じ取り、早めに解散したのだ。
「はよー品田!」
「あぁ…おはよう」
頭上から声が降りかかる。
拓海のいつメンのクラスメートが拓海の肩を叩いた。
「おうおうどうした恋煩いか!
ま、まさかゆ、ゆいちゃんと何かあったのか…!?!?」
最初は軽いノリで話しかけてきた友達はだんだんと興奮気味になって拓海の座っている椅子をガタガタと揺らす。
「いや、香椎のことで…」
彼は拓海がいつものようにゆいとの関係を否定するものとばかり思っていたので、その反応に目を見開いた。
「ゆいちゃんのことで反応しないのは珍しいな…って香椎だって!?!?」
そして絶叫。
「お、おまっ、お前…二股は良くないぞ…」
ドン引きな表情で拓海を見つめる。
「は、はぁ!?ちげーし!!」
即座に拓海は否定の言葉を口にするが彼の耳には届いていない。
「い、いやっまぁでも人の恋路を勝手に決めつけるのはよくな、い…もんなぁ…。」
彼は大声で否定し続ける拓海には眼中になく、ぼそぼそと独り言を呟く。
そして彼は暫く悶々とした後、拓海に宣言した。
「俺は何があろうとも拓海の気持ちを尊重するぞ!!」
拓海は何も言わず頭を抱えて机に突っ伏した。
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Lynn - ラピスさん» おぉ、フィナーレ戦まで行きましたね。この調子でブンドル団である夢主(自分)をさらに強めにして下さい。後、この小説も作者さんの事も大好きです。 (12月18日 16時) (レス) id: b7c4ae609e (このIDを非表示/違反報告)
Lynn - ラピスさん» では、無理ない程度新しくストーリー更新お願いします。このシリーズハマりましたよ!もう設定も、そのまま固定で大丈夫です。 (9月19日 9時) (レス) id: b7c4ae609e (このIDを非表示/違反報告)
Lynn - ラピスさん» なら、そのままで大丈夫です。CV追加まで頼んだ自分が申し訳なかったです。 (9月10日 9時) (レス) id: b7c4ae609e (このIDを非表示/違反報告)
ラピス(プロフ) - Lynnさん» すみません、自分声優には詳しくなくて…CVは決めれないんです。申し訳ありません…。 (9月9日 22時) (レス) id: 5ef9e0ac96 (このIDを非表示/違反報告)
Lynn - ラピスさん» いえいえ、見てる自分も嬉しい限りなんでね。あ…プロフィールのとこに、CVつけて下さい。CV決まったら載せるのをお願いします。 (9月9日 14時) (レス) id: b7c4ae609e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ラピス | 作成日時:2023年4月2日 17時