菓彩あまねの懸念.2 ページ4
『あの…』
学校へと向かいながらAがおずおずと口を開く。
「どうしたんだ、A？」
朝日に照らされて深みがより増した深紅の瞳がAを写す。
Aはそんなあまねに釘付けになったが、慌てて目を逸らす。
『先程は…ありがとうございました。』
下を向いて若干くぐもった声でAが感謝の言葉を述べる。
「ああ…、Aの為なら。
食べられないんだろう？」
あまねは全てを見透かしているような目線を向ける。
『苦手なだけで食べることはできますよ。』
Aの口の端から小さく苦笑が漏れる。
『やっぱり、あまねさんも私を悪く思って…』
「私はそうは思わない。」
Aは静かに空に言葉を放ったが、あまねがその言葉を優しくすくい上げた。
Aは目を見開き、ハッとした表情であまねを見た。
「Aには何かやりたいことがあるんだろう？
できる範囲のものであれば私が手伝おう。」
Aにだけ向けてくれるあまねの穏やかな視線にAは少し躊躇う。
目を細め少し考えた後、Aは口を開いた。
『私は料理なんて見たくないし食べたくもない。
だけどそれでは生きていけない。』
俯いた状態のままで呟いており、あまねにはAの表情が見えない。
『だから私は料理を見て吐き気がしても、
お母さんがどうあがいても変えることのできない現実に苦しんでいるのを見ても、
お父さんが世界を飛び回って家に帰って来た時に浮かべる悲しそうな表情を見ても、…』
あまねは顔色を一切変えず、静かにAの話を聞く。
『…やっぱり何でもないです。』
Aは言葉を紡ぐ度に段々と細々とした声になっていき、暫く間が空く。
「無駄な料理なんてなくなっちゃえばいいのに。」
あまねはそんな彼女を見て口元だけ僅かに微笑み、Aの頬にそっと触れた。
「私はこの中学校の生徒会長。
何事も身近な所から始めれば、この地域に、日本に、世界に広がる。」
あまねは自信たっぷりの表情を浮かべた。
「私はAの味方だから。」
いつの間にか着いていた校門の前であまねはAに手を差し出す。
Aは、輝いて見えるあまねの手をゆっくりと受け取った。
Aの瞳は太陽の光で輝いて、より煌めいていた。
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Lynn - ラピスさん» おぉ、フィナーレ戦まで行きましたね。この調子でブンドル団である夢主（自分）をさらに強めにして下さい。後、この小説も作者さんの事も大好きです。 (12月18日 16時) (
レス) id: b7c4ae609e (このIDを非表示/違反報告)
Lynn - ラピスさん» では、無理ない程度新しくストーリー更新お願いします。このシリーズハマりましたよ！もう設定も、そのまま固定で大丈夫です。 (9月19日 9時) (レス) id: b7c4ae609e (このIDを非表示/違反報告)
Lynn - ラピスさん» なら、そのままで大丈夫です。CV追加まで頼んだ自分が申し訳なかったです。 (9月10日 9時) (レス) id: b7c4ae609e (このIDを非表示/違反報告)
ラピス(プロフ) - Lynnさん» すみません、自分声優には詳しくなくて…CVは決めれないんです。申し訳ありません…。 (9月9日 22時) (レス) id: 5ef9e0ac96 (このIDを非表示/違反報告)
Lynn - ラピスさん» いえいえ、見てる自分も嬉しい限りなんでね。あ…プロフィールのとこに、CVつけて下さい。CV決まったら載せるのをお願いします。 (9月9日 14時) (レス) id: b7c4ae609e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ラピス | 作成日時：2023年4月2日 17時
