巡り合い.6 ページ20
軽快な足音と一定のテンポで吐く息が辺りに響く。
「ポライトルー?」
ジェントルーは一度立ち止まって息を整えた。
思い返す。あの焼きそばパンは味も香りも一切しなかった。
あのような状態になるのはポライトルーがレシピッピを分捕った時である。
ならばまだ近くにポライトルーがいるはず。
ジェントルーは何故自分がポライトルーを追っているのか自分でもわかっていない。
しかし、そのようなことを考える余裕がなくひたすら走り続けた。
「ジェントルー」
ふと声が降りかかる。
ジェントルーが立ち止まって声の方向を探す。
「ナルシストルーっ」
ジェントルーは自身の目線の先にまるで自分を待っていたのかのようにナルシストルーが立っているのを見つけた。
「ジェントルーが探しているのはポライトルーか?」
ナルシストルーはニヤリと意味ありげに笑ってジェントルーに尋ねた。
「あ、ああ。そうだが…」
ジェントルーは一瞬ナルシストルーの言動の意味を探ったものの、渋々と不審そうに頷いた。
「これはポライトルーが奪ったレシピッピだ。」
「ポライトルーが!?い、今はどこにいるんだ!?」
ナルシストルーがどこからともなくレシピッピの入った捕獲箱を取り出し、ジェントルーに見せびらかす。
ジェントルーは前のめりになってナルシストルーに詰め寄った。
ナルシストルーはそんなジェントルーを難なく躱し、彼女に捕獲箱を投げてきた。
「えっ」
ジェントルーはナルシストルーの行動を予想できなかったのか反応が僅かに遅れる。
しかし持ち前の身体能力で捕獲箱はジェントルーの手に収まった。
「これ、やる」
「え?い、いきなりどうしたんだ…?」
絶対に任務を蔑ろに扱わず、成果に拘るナルシストルーが、他人が奪ったレシピッピの入った捕獲箱を自分にいきなり投げてよこしたことにジェントルーは困惑の表情を浮かべて相手の顔色を窺った。
ナルシストルーは何やら焦っているようだ。
「じゃあ後は任せたぞ!俺様は忙しいんだ!」
ナルシストルーは捨て台詞のようなものを吐き、戸惑うジェントルーを一人残していった。
「ジェントルー!!…え、どうしたの?」
後ろから先程聞いたような声が飛びかかってきたが、ジェントルーはその声に振り向く余裕など持ち合わせていなかった。
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Lynn - ラピスさん» おぉ、フィナーレ戦まで行きましたね。この調子でブンドル団である夢主(自分)をさらに強めにして下さい。後、この小説も作者さんの事も大好きです。 (12月18日 16時) (レス) id: b7c4ae609e (このIDを非表示/違反報告)
Lynn - ラピスさん» では、無理ない程度新しくストーリー更新お願いします。このシリーズハマりましたよ!もう設定も、そのまま固定で大丈夫です。 (9月19日 9時) (レス) id: b7c4ae609e (このIDを非表示/違反報告)
Lynn - ラピスさん» なら、そのままで大丈夫です。CV追加まで頼んだ自分が申し訳なかったです。 (9月10日 9時) (レス) id: b7c4ae609e (このIDを非表示/違反報告)
ラピス(プロフ) - Lynnさん» すみません、自分声優には詳しくなくて…CVは決めれないんです。申し訳ありません…。 (9月9日 22時) (レス) id: 5ef9e0ac96 (このIDを非表示/違反報告)
Lynn - ラピスさん» いえいえ、見てる自分も嬉しい限りなんでね。あ…プロフィールのとこに、CVつけて下さい。CV決まったら載せるのをお願いします。 (9月9日 14時) (レス) id: b7c4ae609e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ラピス | 作成日時:2023年4月2日 17時