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「はぁ、、かっわいい…」
「何回言うんそれ」
「だってかわいいから…」
ただいま技術なう。
そして、さとちゃんに呆れられています。
ひどくないですか、この人。
制作物を紙やすりで削りながら、わいわい話していた。
「ねぇねぇ、あたしさ、あれほしいんやけど…」
そう言いながら、さとちゃんが指さした場所を見ると、うちの班の人ではない人が 制作物に使う液体を占領しているところだった。
「はぁ…1班に1つあるのに、なんでこっちまで来てうちの班のやつ使うんやろ…」
「多分…あの辺と一緒にやりたいからやと思う…。あいつ陰キャだし、友達いないんでしょ」
「ふーん…」
正直、占領していたその人は、私の苦手な人だった。
素直に言うと、大っ嫌い。
小学校が同じだった気もするが、そのころから苦手だった。
それは、同じ小学校であるさとちゃんにも共通する話であって、あいつと話したくないんだけどなぁ… と、零していた。
私は、少し考えて、近くにいる犬井くんに言うことにした。
「犬井くん、それ貸してくれんー？」
「ん！どーぞ！」
「ありがと！」
なんとかもらうことができた。
安心安心…と思いながら、さとちゃんにそれを渡す。
「…開かへん」
「まじか」
蓋が開かないらしい。
頑張れば開けられるのだが、周りに液が付いているので手が汚れるらしい。
「指先じゃ開かへん…」
自分もやってみたが、無理だった。
手が汚れるのだけは避けたい。
かぶれる とも誰かが言っていたし。
「…開けれる？」
そう言って、机の真ん中にそれを置いた。
犬井くんがやろうと手を伸ばしたが、自分の手を見て、横に座っていた男子に渡した。
先ほどの占領野郎ではない。
「え、普通に開くやん」
そう言いながら、こちらを向く男子。
手に目をやると、指先に液がべっとりとついていた。
「手につくからさ…、」
「うわ、ほんまやん」
男子の顔は死んでいた。
「あはは、＿＿くん やってんなぁww」
「wwww」
「しぬwwww」
犬井くんからポンポン出てくる言葉で、私とさとちゃんの笑いはヒートアップする。
芸人いけるよ、君たち。
「…なぁなぁ、それ貸してー」
少しして、そう、犬井くんが言った。
私は、さとちゃんが使い終わったのを確認して、犬井くんにそれを渡した。
さとちゃんが使い終わってから「貸して」と言ってくれる優しさに、笑みが零れた。
今日も眩しいっす、犬井くん。
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作者名：らぬ | 作成日時：2022年2月2日 22時
