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「え？」
「なになに。」
「神山くんから電話。」
「まっさんなんかした？」
「全然心当たりないけど…え、なんやろ。」
大晴と2人で撮影現場に到着して他のメンバーが着くのをまったり待ってたその時、携帯の画面に表示されたのは先輩からの着信。
大晴になんかやらかしたんか？なんて言われたけどほんまになんの心当たりもなくて少し緊張しつつボタンを押す。
『もしもし、お疲れ様です。』
『お疲れ。よかった、通じた。正門、いま時間大丈夫？』
『はい。全然大丈夫です。』
『メンバーおる？他に。』
『大晴おります。』
『ほんならちょっとスピーカーにしてそっちのマイク切って。俺らの声聞いといてや。』
『え？どういうことですか？』
よく分からへん指示におもわず聞き返した。
神山くんの声聞けってどういうこと？
『んー、まぁ俺からは言われへんからとりあえず今言ったようにしといて。マイクはオフでスピーカーはオン。』
『はい…？』
「なんやった？」
「いや、なんか話聞けって。大晴も。」
大晴もポカンと口開けてるけど俺にも全く検討がつかへん。
なんか音楽でも聞かされんのか？とか考えてる間に神山くんのスマホが音を拾った。
『お待たせ。』
『神ちゃん遅いわ。もう頼んだけどええやろ？』
「重岡くん？」
『琉生涙止まった？』
『止まったけど目真っ赤っかや、うさぎみたい笑』
「…え？」
「どういう…さくらが泣いてる？」
もう何もかも理解できひんくてごちゃごちゃしてる間にもどんどん話は進んでて。
状況はよく分からへんけどとりあえず聞くしかないって大晴と顔を見合せた。
「みんな忙しいから迷惑になると思った。」
「寂しいなんて言うの情けない。」
「みんなと、はなしたい、会いたい」
先輩たちとの会話の中で紡がれたさくらの気持ち。
細く震える声は今にも泣きそうな、そんな姿を連想させた。
「電話もメッセージも来おへんかったん、ずっと俺らに遠慮してたってこと…？」
「多分、そう。」
『らしいでー？大晴、正門。』
『っあ、はい！』
『え…』
『ほら。あるんやろ話したいこと。』
どうやら俺らだけじゃなくて聞かされてへんかったんはさくらも一緒やったみたいで電話越しにふと漏れた声が聞こえる。
『…さくら？』
『ょし…く……』
思わず電話越しのさくらに話しかけた。
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作者名：i | 作成日時：2023年6月19日 19時
