＊ ページ15
「るーちゃんは晶哉のことどう思ってんの？」
「どう思ってるも何もただのクラスメイトとしか。」
「…なんかそういうとこやわ。るーちゃんのやばいとこ。」
「さっきから言うてることぐちゃぐちゃやで。疲れてるやん。」
「うん、せやな。そうや、疲れてるから帰る。じゃーね。」
「どういうことなんまじで。」
いつも以上に思考読めへんなって思いつつ玄関を出る健くんを見送って冷凍庫を開ける。
そこにあったはずのチョコのアイスは無くてゴミ箱に入った空の容器を見た瞬間俺は心に決めた。
「出禁にしよ。」
＊
「34、35…よし、全員分ある。」
放課後の教室で教卓に集められたノートの数を数える。
でもこれ化学のもあるんか。
流石に1人は厳しいな…
「あ……」
そういえば、なんてふと気がついて黒板に目を移した。
今日の日直は俺と、佐野くん。
昨日の今日でなんとなく気まずいけど…まぁ、しょうがない。
「…佐野くん。ノート、職員室に持ってくん手伝ってくれへん？」
「あ、うん。せやな、日直やし。」
「ごめんね。ありがとう。」
声をかけると佐野くんも気まずそうに返してくるからなんだか絶妙な空気が流れて目を逸らした。
運ぶだけ、運ぶだけやから。
でもこれだけは真偽を確認しときたい。
「…あの、さ。」
「ん？」
「もしかして、健くんからなんか聞いた？」
そう聞くと佐野くんは少し焦ったように口ごもって。
「小島くんからは…えーっと、いや、従兄弟ってことくらいしか。」
若干変な間があったような気がせんくも無いけど佐野くんが言うなら大丈夫か。
「はぁ〜〜〜っ、よかったぁ…健くんすぐ余計なこと言うし佐野くん困らせてたらどうしようと思って…」
ほんまに一言も二言も多いから。
変なこと言ったら遠慮なくぶん殴っていいよ、そう言おうと思ってすぐ後ろにいる佐野くんと目を合わせようとした瞬間
「うわぁっ、」
体が前に傾く。
落ちる、そう瞬時に理解して目を瞑った。
「あぶなっ……」
「っ、…」
けど体に来るはずの衝撃はいつまで経っても来おへんくて恐る恐る目を開けると佐野くんの整った顔が視界いっぱいに広がった。
ほんまにちょっとでも動けばキスでもしてしまいそうなそんな距離。
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作者名：i | 作成日時：2023年6月19日 19時
