ぷーる ページ2
「ぜったいあかん！」
更衣室から聞こえる晶哉の声に思わず外におるメンバーが全員振り返る。
「…何やってんの？」
なんかあったんかと思って慌てて開いたドアの先には海パン履いてお互い上裸な2人の姿。
いや、ほんまに一歩間違えたらとんでもない状況やから。
「大晴くん聞いてくださいよ！」
「おぉ…」
「大晴くん！このバカどっかやってや！」
「おぉ…？」
同時に怒ってるわんこたちがキャンキャン噛み付いてくるけどこーれはとりあえず状況説明してもらわな分からんで。
「やってさ、大晴くん見て？これは上着着なあかんやろ…」
そう、今日はTHE夏っていうテーマでプールでの撮影でそりゃ水着を着なあかんわけやけど晶哉が言っとるのも分からんくはない。
「いや、肌白、体うっす…」
「規制かかるやろまじで。」
「晶哉はもう喋んな。」
心の声ダダ漏れやから。
「と、とりあえずさくは上着着よか？な？」
「えー…」
「さく、肌弱いし焼けたら痛くなってまうやん。撮影中にちょっとだけ脱いだらええよ。」
「でも日焼け止め塗ってる。」
「なんでもええからはよ着ろ。」
「晶哉はさっきから顔赤ない？熱中症？」
「それ以上やったら晶哉が死ぬからやめたって。」
＊
「結構深いやん。誠也くん溺れるちゃう？」
「俺よりちびに言われたないわ笑」
「チビって言うな！俺は泳げるし！」
「喧嘩するか？」
「健くんっ、誠也くんがいじめてくる！」
「小島。その後ろにおる奴前出せ。」
「…俺がるーちゃんを守る。」
「なんやこいつら。」
「元気やねぇ。」
そう言ってプールサイドに腰掛ける正門を見てじじいか、なんてツッコむ。
プールサイドってより縁側やねんてシチュエーションが。
「てかあいつ結局ラッシュガード着たんや。」
「晶哉と大晴にめちゃくちゃ説得されてた。」
「よしくん〜、リチャくん。」
「うわ。いつの間におってん。」
「誠也くんに流された。」
かわいいドーナツ柄の浮き輪にすっぽりはまりながら話す琉生が指さした先に見えたのは悪い顔しながらケタケタ笑ってる誠也くんの姿。
あの人も大人気ないなぁ。
「さくら。これ持って仕返ししておいで。」
こっそり最年長に仕返し、ね。
＊
「るーちゃん。髪乾かさな風邪引くで。」
「かわかして。」
「しゃあないなぁ。」
「下心丸見えすぎやろお前。」
撮影が終わってからすっかり琉生はおねむモード。
「せいやくん。」
「ん？」
「今度またプール行こうね。」
「おう。」
初夏の想い出。
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作者名：i | 作成日時：2023年6月19日 19時
