Episode 3-21 ページ21
「………なんつう顔してるんすか。」
「君のそんな顔を見るのは何度目だろうか。辛いめに何度も合わせてしまってすまない。」
また、あの浮遊感。
ヘルメットを被った青年が血溜まりに倒れ、私に似た少女が青年を抱えながら、震えている。
後ろ姿しか見えないが、震えている少女は、きっと涙を流しているのだろう。
そんな光景を目の前に、私も手が震え始める。
「でも、大丈夫だ。私が必ず君を助ける。もう逃げないと決めたんだ。やっと……やっと希望を見つけたんだ。」
「____さん？」
「また君に会いたい。だから、待っていてくれ。絶対に迎えにいく。」
声はところどころ裏返っているが、少女は力強く言い放った。
青年は、少女の頬に優しく触れ、彼女の表情を見据えながら、弱々しく笑みを零す。
最期の灯火……最期の笑みだ。
「約束、忘れんといてくださいね。」
聞き覚えのある言葉にはっと顔を上げる。
どこで、聞いたっけ……？
頬から離れていく手。力をなくし、崩れ落ちていく手。
血溜まりがピシャと音をたて、私は、少女は、一筋の涙をこぼし、
▷▶
「A！！！」
水面から這い上がる感覚に、一気に空気を吸い込む。その反動でケホケホと咳を零し、荒く呼吸を繰り返した。
涙が溢れる。
夢？ 夢を見ていた？ この状況で？ 気絶してたの私？
周囲が霧に囲まれ、凍てつく空気が肌を刺した。
先程名を読んだのはロボロのようだ。私の顔を覗き込んでいる。
「大丈夫か、A！？ 魔力にあてられたか！？」
「深呼吸して。大丈夫、俺たちがいるから。」
私の手を握り声をあげるロボロと、背中をさすり落ち着いた声音で宥めてくれるしんぺい神。
どうやら氷壁による攻撃は回避できたようだ。
ふぅと深く息を吐く。
「大丈夫。ごめん、私だけ足引っ張って。」
「自虐的になるのは良くない。誰もAちゃんを責めとらんやろ。」
「うん、ごめん……。」
思わず下を向いてしまう。
あの夢を見てから心がザワついて、震えが止まらない。
皆に迷惑かけたくないのに、体が言うことを聞いてくれないのだ。
心臓の前で、拳をギュッと握る。
「______ごめんごめん謝るのはもう終わりやご主人。らしくないで。」
ふいに周囲の凍てついた空気を溶かすように、暖かい炎が周辺を覆った。
『トントン……！』
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miyaana(プロフ) - 初めまして、今日この作品を発見して一気読みしてしまいました！面白すぎます...。続編も楽しみに待ってます！頑張ってください (12月11日 20時) (
レス) @page40 id: dd83a370ce (このIDを非表示/違反報告)
ランス(プロフ) - 砂糖里さん» ワクワクしてくれるなんて嬉しすぎます...！！これからも少しずつ更新していくので、どうぞよろしくお願いします...！ (9月4日 23時) (レス) id: 2ab0d8c443 (このIDを非表示/違反報告)
ランス(プロフ) - 裂けないパ◯コさん» あんばばばっ....嬉しいお言葉....頑張ります頑張ります...これからもこの作品をよろしくお願いします！！！ (9月4日 23時) (レス) id: 2ab0d8c443 (このIDを非表示/違反報告)
ランス(プロフ) - 碧さん» 返信遅くなり申し訳ないです...！！待ってくれている人がいてくれるだけで嬉しいッ、、これからも頑張ります...！ (9月4日 23時) (レス) id: 2ab0d8c443 (このIDを非表示/違反報告)
砂糖里(プロフ) - 更新お待ちしておりました…！とってもワクワクする展開で続きが気になってしまいます！作者様のペースで頑張って下さい(*´꒳`*) (8月22日 7時) (レス) id: bc73dba8c9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ランス | 作成日時：2022年2月10日 20時
