不器用人生２ 【赤】

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渋「おぉ…珍しいな」


安「ちょっと話がしたくて…」


たまにしか入らん昼間の楽器屋のﾊﾞｲﾄ先に

突然やすがやってきたのは

１２月入ってちょっとした頃。


渋「学校は？さぼりか？」


安「学校終わってからやと、皆ついて来てまうから..」



そう言って売りもんのｷﾞﾀｰを少し触ったりして

なんも話ださん安。


渋「なんやねんっ話せやっ」


なんとなく、聞きたくない話されそうやけど

重たい雰囲気に耐えかねて話しかける。



安「おん。あのさ…」




安「渋やん、Aの事どうおもってんの？」


...直球できたな。


渋「なんでそんなん聞くねん」


安「俺、全部知ってんねんで！！」


渋「全部？？」


安「二人が付き合ってた頃の事。俺だけには話しててんっ」


渋「そーか」


安「答えてや。なんで別れたん？まだ好きなんやろ？」


渋「答えなあかん事ないやろ」


安「答えられんなら、もぉちょっかい出さんで」


渋「.....お前、Aの事好きなん？」


安「....好きやで」


渋「そんでお前、俺がAの事好きやって言ったら

どうするつもりやってん。ﾗｲﾊﾞﾙ宣言か？」


安「.....渋やんが…

本気で好きって言うなら…

Aの事応援したいし、俺は身ひくつも…」ﾊﾞｼｯ



安「っった！！

なんではたいたん？？！！」


渋「しょーもない事ばっか言うとるからや」


安「どこがしょうもないねん！！」


渋「お前、身ひくって事がどんな事かわかってんのか？」


安「分かってるし！！」


渋「目の前に抱きしめたい女がおるのに…

自分が悲しい顔させとるのに…

優しくしてやれん気持ちわかるか？？」


安「えっ？？」


渋「こっちはとっくに身ひいてるっちゅうねん！！あほが！！」


安「...渋やん？？」


渋「もぉ帰れ。下らん事考えとる暇あったら

早よﾃﾞﾋﾞｭｰ出来るようにｷﾞﾀｰ練習せぇ

ほんでﾃﾞﾋﾞｭｰしたいなら…

ｸﾞﾙｰﾌﾟ内恋愛は禁止や。」



安「...どういう意味？なんで恋愛がﾃﾞﾋﾞｭｰと関係あるん？」


渋「....」


安「…渋やん何背負ってんの？？

俺らもﾒﾝﾊﾞｰやん。ゆうてぇや」


渋「なんもない」


そう言うと、

何かを言いかけた安が一回言葉を飲み込んで

…またなって言うて

帰ってった。



もぉ俺やって限界やねん。

一回抱きしめてキスをすればまた頑張れると思ってたんに

今まで以上に辛くなってもうた。

覚えてへんﾌﾘするだけで精一杯やねんで。


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