不器用人生２ 【赤】

74(あなたside) ページ24

・


学校がテスト期間に入り、

最近バンドの練習はない。


って言っても、テスト前は学校で練習してたから

本当に練習がないのは、

この期間だけ。


前は早く帰れる分、テストの日でも集まったりしてたけど

今回は皆ちょっとやばいらしい(笑)




私は一応ちゃんと授業受けてたのもあって

まだ大丈夫そうだったから

ﾏｽﾀｰからの連絡が来た日、

いつもの練習場所に向かった。



『こんばんわ〜♪今日もお借りしますっ！』


ﾏｽﾀｰ「は〜い♪ごゆっくり〜」



ﾏｽﾀｰに挨拶だけして階段を上る。


中に入り、一人練習をして

キリがいい所でｿﾌｧｰに座って休憩した。


ふと見るとﾃｰﾌﾞﾙの上の灰皿には煙草の吸殻。


ﾏｽﾀｰは煙草辞めたらしいし、

銘柄的にすばるくんの。


...昨日ﾊﾞｲﾄだったんだな。




あの時の映像が頭をよぎる。



あぁ…もぉ。


いつになったら大丈夫になるんだろ。

もぉ大丈夫だと思ってたんだけどな…


別れた後、

すばるくんが他の女の子と遊んでるって初めて聞いた時は

次の日目が腫れて、ずる休みする位落ち込んだ。


でも次第にそんな話題にも慣れていって

ｼｮｯｸじゃないって言ったら嘘になるけど

なんだか別世界の話のようにも思ってた。



やっぱり目の前で見るのは辛いな…


落ち込んでるからか、

秋の夜だからか

元々お店だった広い部屋のここは肌寒くて

気持ちをより落としてく。



ふとｿﾌｧｰの向かいにある小さな椅子に

可愛い赤のﾁｪｯｸのひざ掛けを見つけて手に取った。



...こんなの今まであったっけ？？


ちょっと借りちゃお♪



ひざ掛けかけてｿﾌｧｰに座りながら、

章ちゃんがipodに入れてくれた音源を聞いて

目を閉じてると

何曲目かで歌が入ってるのに変わる。



静かな部屋で余計に鮮明に聞こえるすばるくんの声は

耳じゃなくて

心臓で聞いてるんじゃないかって位

私の胸を苦しくさせた。



・

75→←73

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す