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『こんなに美味しいご飯があって、賑やかで…貴方達は幸せ者ね…』





火消しは体力のいる仕事だ

バランス良く考え作られている食事は
一眼でわかった

それにこの量を作るとなると
作り手も並大抵の体力じゃあ務まらないだろう





「いつも何処の誰かもわからねェ奴が泊まって行ったりしてんだ。飯が食いたくなりゃまた来りゃあいい」

『………それ、警備的に大丈夫なの?』





紅丸の飯の誘いよりも
何処の誰かもわからない奴が
詰所に寝泊まりしている事が気になった

詰所の警備が心配だ…






「心配いらねェよ。此処は若の町だ。浅草の連中で若の根城を荒らすような輩はいねェさ」

『………最強の消防官の名前は伊達じゃないのね』





気がつけばAのおかずは
双子にほぼ食い尽くされており
白米と味噌汁を美味しく頂いた。



食事が終われば晩酌の時間らしい



昼間勤務があった人間は酒を持ち出して
酒盛りを始める

夜勤務がある者は流石に遠慮している様子だった


気がつけば障子から差し込む月の光に
Aは長居しすぎたと後悔した

持ち帰ったアナスタシア家の紋章が刻まれた
鉱石も、怪しい粉も調べてない…

Aからしたら失態に近い状況だった

一刻も早く調べたい気持ちが
ぶわりと身体の底から湧き上がった





『ごめんなさい、長居しすぎたわ』

「あ?」

『そろそろ御暇するわ…』

「ええぇ!?帰るのかよ!?」

「泊まって行けよ!!」





双子は自分達と同じくらいの歳の友達が
出来たと思って喜んでいた

何故か双子に懐かれて髪の毛を弄れたり
Aの驚異的な計算能力と電卓の戦いで
盛り上がったり…

気がついたら辺りは暗くなっていたのだ





「なんだ、泊まって行かねェのか?」

『…ええ、これ以上迷惑は掛けられないし……貴方達に借りを作るのは私のプライドが許しそうに無いから』

「……難儀な嬢ちゃんだな…」

「細けェ事気にしすぎなんだよ、テメェは」


「「気にしすぎなんだよ!!」」


『……初めはあんなに私の事警戒して居たのに…』




溜息をつきながら
キャリーケースの中身を確認する

忘れ物は無さそうだ





『また近々お邪魔すると思うわ』




今度は道具を揃えて
もう一度会社跡地の地下へ入りたいし
借りた浴衣を返さないといけないから、と
Aは双子の頭を撫でた

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ゆー - アアアアア紺さんと紅ちゃんも来たヨォ最高 (2020年12月3日 22時) (レス) id: a1e8810d71 (このIDを非表示/違反報告)
辰砂(プロフ) - あおいさん» コメントありがとうございます(^^)楽しんで頂けて幸いです!このご時世ですからね…今の所体調不良は無いですが私のペースで更新しますので何卒宜しくお願いします (2020年9月9日 16時) (レス) id: 96fa6c78c6 (このIDを非表示/違反報告)
あおい(プロフ) - とても雰囲気が好きです!前作に引き続き、楽しませてもらってます。こんな世の中なので健康に気をつかいつつ、更新頑張ってください! (2020年9月8日 23時) (レス) id: 23cfa4baa4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:辰砂 | 作成日時:2020年8月31日 13時

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