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Aは自分の能力で紅丸へ幻覚を見せようと
熱を送り込んでいたのだが
紅丸の煉合能力によって抵抗され続けていたのだ

結局Aが能力負けして
しぶしぶ引き下がったのだが…

ツンとした態度でお茶を飲むAが
どうしても記憶の中の彼女と重なって
府に落ちない気分だった

紅丸の入れたお茶は思ったより悪くなかった







「よお、紺炉!」





ソイツは急にふらっとやってきて
酒瓶を部下に持たせて詰所の暖簾を潜ってくる

日課である玄関掃除をしていた紺炉が
毎回奴の相手をしなければならない





「涙崇(ルイス)……お前さん、まだお天道さんは沈んでねェぞ」

「火鉢さん居るか?」





後ろで酒瓶を抱えている涙崇の部下は苦笑いだ

紺炉の話も聞かずに
火消しの棟梁の所在確認をしてくる

頭なら居間にいたな…と思っていれば
煙管を咥えた棟梁が眉を釣り上げて出てきた





「涙崇、テメェまた朝早く来やがって」

「今日は是非ともご賞味して欲しい酒が出来たんですよ」




今日の奴はいつも以上にご機嫌のようだ

その様子に棟梁も気がついたのか
黙って涙崇を見つめた





「それと、今日は紹介したい奴がいるんだ!」

「あ?」

「……涙崇の知り合いか?」





涙崇は急にデレっとしたダラシない顔になり
自分の部下の後ろにいた小さな少女を呼びつけた

輝くホワイトゴールドの髪に白くて透き通った肌
整った顔立ち、衣服から伸びる細い手足

純白のワンピースに身を包んだ幼い少女は
棟梁と紺炉の前に出てくると
服の裾を少し持ち上げて丁寧にお辞儀をした





『初めまして、浅草火消し棟梁様。アナスタシア家長女"A・エル・ロゼット・アナスタシア"です』

「アナスタシア…」

「まさか…テメェのガキか?」

「そうなんですよぉ〜!可愛いでしょ?」

「テメェと違って賢そうじゃねェか」

「(……涙崇の娘…似てねェな…)」

「嫁そっくりで、Aは将来は別嬪になりますよ」

「確かに見た目は女狐似だが……"眼"はお前似だな」





煌く2つのブルーサファイアの瞳が
浅草火消し棟梁を見つめた








「………(そういや涙崇の娘は何て名前、だっけな…)」






相模屋紺炉はそろそろ夕飯時だったので
自分の大隊長を呼びに客間へ向かっていた




「若、入りますぜ」




襖を開けて客間を覗けば紅丸も例の幼女も居た




『お風呂と浴衣、ありがとう。それと、お茶もご馳走になってるわ』

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ゆー - アアアアア紺さんと紅ちゃんも来たヨォ最高 (2020年12月3日 22時) (レス) id: a1e8810d71 (このIDを非表示/違反報告)
辰砂(プロフ) - あおいさん» コメントありがとうございます(^^)楽しんで頂けて幸いです!このご時世ですからね…今の所体調不良は無いですが私のペースで更新しますので何卒宜しくお願いします (2020年9月9日 16時) (レス) id: 96fa6c78c6 (このIDを非表示/違反報告)
あおい(プロフ) - とても雰囲気が好きです!前作に引き続き、楽しませてもらってます。こんな世の中なので健康に気をつかいつつ、更新頑張ってください! (2020年9月8日 23時) (レス) id: 23cfa4baa4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:辰砂 | 作成日時:2020年8月31日 13時

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