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Aの前の卓袱台に置かれた
湯飲みを見つめて小さな手で掴み一口飲んだ

そんなに見られると居心地が悪いのだが…





「……お前、普段何で洗髪してんだ」

『……え?……何って……市販のシャンプーよ』




灰島製のその辺のドラックストアとかに
陳列さてれいる物だ

紅丸の赤い瞳はAの長い
ホワイトゴールドの髪を見つめていた

袴の時は三つ編みをしていたが今は
下ろして重力に従ってキラキラ光る髪の毛は
畳へ伸びている






『最近はまともに湯船に浸かる事、無かったから…今日はとても感謝しているわ。ありがとう』

「……風呂ねェのか」

『失礼ね、ちゃんとあるわよ。けれど最近忙して湯船に浸かる時間さえ惜しかったの…』

「ガキの癖に時間が惜しいだァ?」

『……私は子供じゃないって、何度も言ってるでしょ…』





これだけ言ってもコイツは
まだ自分をガキ扱いかと少し眉を釣り上げて
紅丸を見た

卓袱台に肘をかけ手に顔を預けて
きっと大人の真似事してんじゃねェよと
言ってる顔をしている

Aも多少ムッとしてそれならそうと
自分の本来の姿を見せた方が早いか?と
危ない橋を渡ろうとした





『あまり私を揶揄うと…痛い目見るわよ……』

「ガキの言う事をいちいち信じろってか?」

『………』





Aは立ち上がり紅丸の所まで移動する
両肩に手をついて上から紅丸の顔を覗き込む

紅丸も何だと言わんばかりに
Aの顔を見つめる

ブルーサファイアの瞳と
ローズルビーの瞳が怪しく光った

側から見れば紅丸と幼女が見つめあっている
絵面になっている…





『…………』

「…………」




どのくらい見つめ合ったのだろう
お互い眉を一つ動かさず表情を変えないで
見つめ合った事数分…

最初に口を開いたのはAだった





『…ちょっと、抵抗しないでよ』

「得体の知れない能力に抵抗しねェ奴は居ないだろ」

『ちょっと脳内に熱を送り込もうとしただけじゃ無いの……』

「人の頭に何してんだ」

『別に変な事をしようとした訳じゃないわ。ただ少し幻覚を見せて私の本当の姿を見せてあげようと思ったのに。残念ね』

「あ?」





Aは小さな溜息をついて先ほど
座っていた場所まで戻る

ぬるくなったお茶を飲めば
何の事だと紅丸が身を乗り出して聞いてくる




「テメェ…能力者だったのか…」

『そうよ』

「聞いてねェぞ」

『聞かれて無いもの』

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ゆー - アアアアア紺さんと紅ちゃんも来たヨォ最高 (2020年12月3日 22時) (レス) id: a1e8810d71 (このIDを非表示/違反報告)
辰砂(プロフ) - あおいさん» コメントありがとうございます(^^)楽しんで頂けて幸いです!このご時世ですからね…今の所体調不良は無いですが私のペースで更新しますので何卒宜しくお願いします (2020年9月9日 16時) (レス) id: 96fa6c78c6 (このIDを非表示/違反報告)
あおい(プロフ) - とても雰囲気が好きです!前作に引き続き、楽しませてもらってます。こんな世の中なので健康に気をつかいつつ、更新頑張ってください! (2020年9月8日 23時) (レス) id: 23cfa4baa4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:辰砂 | 作成日時:2020年8月31日 13時

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