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「じゃあ、どうすンだ。戻んのか?」
『戻る訳無いでしょう。私は"歩く知識欲"よ』
こんな唆る物を前にして
おめおめ引き下がれるもんですか、と
ブルーサファイアの瞳が妖艶に煌めいた
耳の横に付いていたヘアピンと取り出して伸ばす
それをドアノブの鍵穴へ差し込んで
ピッキングをする
ガチャガチャ音が数回した後カチャン、と
軽やかな音と共に扉の鍵が開いた
『…粉塵爆発で吹き飛ぶと思ってたのね。施錠の作りは単純でつまらなかったわ』
「……"鼠小僧"だな」
『……せめて"石川五右衛門"って呼んでくれる?』
ギギィと扉を開ければそこは
6畳程度の小さな部屋だった
扉からわずかな光だけが彼女達の視界を照らす
大きな本棚があり其処には本では無く
何かが入っている袋がギッシリ詰められていた
中身はおそらくこの灰白色の粉だろう
Aはスタスタ歩いて中の様子を確認する
机には何かを置いてあった後があり
その下には小瓶も数個確認出来た
紅丸も怪しげに部屋の中へ入りグルリと見渡す
部屋の床も灰白色の粉で溢れていた
歩くたびにふわりと舞う本当に粒子の細い粉
口や鼻を袖でで覆って体内に入らない様にする
『此処で、蟲の量産をしていたの…?それとも、この部屋で……蟲を受け取っていたの?』
部屋を見渡すが変な空気の流れは見えない
と、言うことは抜け道はないという事
ならば此処で蟲の生産をしていたのだろうか?
「此処で蟲を作ってたのか?」
『……わからないわ。けれど蟲を入れていた小瓶は見つけた』
蟲をこの小瓶に詰めていたのは
間違いないでしょう、と言って
見つけた小瓶を紅丸へ見せる
片眉を上げて瓶を睨む紅丸へ暴れないでよ?と
Aがため息混じりに言った
これ以上此処に居るのは危険だ
この粒子の成分もわからないし下手に動かして
何かの拍子に発火してしまえば
この辺り一帯が吹き飛ぶ
『……今日は、この辺りでお開きね…』
「あ?もうやめちまうのか?」
『これ以上此処に留まるのは危険だわ。何よりこの粉が邪魔でしょうがない…どかすにしても道具が無いわ…』
「んなモン壁に『やめて、壊さないで。貴方は何もしないで』…………」
壁に穴開けて其処へ放り込めば良いと
言いたかったがAの鋭い視線に
口を継ぐんだ
そのあとこの部屋に充満している粉を
地上へ持ち帰った
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ゆー - アアアアア紺さんと紅ちゃんも来たヨォ最高 (2020年12月3日 22時) (レス) id: a1e8810d71 (このIDを非表示/違反報告)
辰砂(プロフ) - あおいさん» コメントありがとうございます(^^)楽しんで頂けて幸いです!このご時世ですからね…今の所体調不良は無いですが私のペースで更新しますので何卒宜しくお願いします (2020年9月9日 16時) (レス) id: 96fa6c78c6 (このIDを非表示/違反報告)
あおい(プロフ) - とても雰囲気が好きです!前作に引き続き、楽しませてもらってます。こんな世の中なので健康に気をつかいつつ、更新頑張ってください! (2020年9月8日 23時) (レス) id: 23cfa4baa4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:辰砂 | 作成日時:2020年8月31日 13時