沈黙のアレキサンドライト (ページ5)

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「アレキ、千空だ。訳あって私が村へ招いた」

「科学使いの千空だ。」

「千空、先程話していた薬師のアレキだ。」

『…………A。長いからみんなアレキって呼んでる。』

「昼のエメラルドに夜のルビー。ククク、なるほどな」

『……？』

アレキサンドライト
太陽光と白熱灯や蝋燭の光で
色が変わる非常に珍しい宝石。

その昔、昼の明かりはエメラルド色に
夜の光ではルビー色になる宝石と
親しみを込めて呼ばれていた。

アレキの容姿は
アレキサンドライトそのものだった。
コハクからどう言った話で千空と知り合い
ここへやって来たのか詳しく聞いたのち
汲んできた温泉水を姉、ルリに届けに行った。

その入れわかりにクロムが
薬剤室へ入ってきた。

『クロムこの祢木に似た男にボロ負けしたんだって？』

「ち、ちげーよ！！今日はたまたま、調子が悪かっただけで…」

「アレキ、お前は頭のキレる薬師だと聞いたが…今の話を聞いて科学王国民になる気は？」

『……私は君を信用した訳じゃ無い。ぶっちゃけ、カガクやら妖術やらに興味は無いし、私は巫女様の病の研究で忙しいんだ。出来れば邪魔をしないでもらいたい』

科学王国とやらはクロムとコハクで
なんとかしてくれと言ってきた。

病気？と千空は片眉を上げて何やら
気になる顔をした。

『まぁ、万が一ルリ様の病がそのカガクとやらで治るのなら話は別だけど……』

「千空！ルリのやつを救う妖術……カガクはねぇのか！？」

「……診ねぇとわかんねぇがな。とりあえず"万能薬"的なものはあるが、作んにはあらゆるブツが足りねぇ」

『……万能薬、だと？』

「ククク、唆るだろ？薬の事以外興味を持たねぇお前なら死ぬほど聞きたい話じゃねえのか？」

『……あの、もしかして私はもう君の言う科学王国とやらの住人になっている、の？』

「俺なら作れる。その万能薬を！」

『…………この村が初まって以来、ルリ様の"病"は治らない奇病とされてきた。その万能薬が効く根拠は何？』

「だから診ねぇとわかんねぇって言ってんだろ。村の入り口には頭の固ぇ門番いて入れねーんだよ」

『まぁ、そうだろうね。…じゃあもしその万能薬が効かなかった場合は？』

この千空と言う人間が叡智だと言うことは
コハクやクロムの話を聞いて理解した。

したところでその万能薬が
効かない場合だってある。

その場合、彼はどうするのか。

アレキはその答え次第で
今後の接触を考えようとしている。