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電気のお披露目会の後はクロムの素材庫で
夕飯を食べた。
その時に出たのが司と千空の話だった。
もちろん事情の知らないスイカに聞かせる為だ
千空を一度殺めた司の使いでゲンは
ここに居ると知ると驚きを隠せないスイカ。
『晩飯時になんつー話してるの。しかも子供のスイカに…』
無表情で白湯を啜るアレキだがその声は
何処が呆れていた。
スイカもスイカで興味津々で話を聞き、
あさぎりゲンは悪いやつだ!と言うが
マグマ達から守ってくれた良い人でもあると
悩んでいた。
あんなペラペラ男、悪い奴でも良い奴でもない。
アイツはペラペラな男だ。
それ以上でもそれ以下でもない。
「ククク、良い奴でも悪い奴でもねぇよ」
「ひたすらに軽薄な蝙蝠男だ。」
『あの男の存在はそれ以上でも以下でもない。ただのペラペラ男だ。』
「あさぎりゲンが良かろうが悪かろうが科学王国にゲットするしかねぇんだよ。"司!千空はちゃんと死んでた!"って偽情報を流させる。俺らの勝利条件はそれしかねぇ!」
「おう!聞いたかよゲン!!」
クロムが扉から身を乗り出してゲンに大声で
科学の素晴らしさを熱弁する。
『クロム、静かにして。夜だよ……』
「だってよ!アレキだってそう思うだろ!?面白えんだよ科学はよ!!」
『最初に言った通り、私はルリ様の病気が治るまで協力する約束だから。』
「おい、ルリの病気が治った後の"約束"は忘れたとは言わせねぇぞ?」
『…もちろん。忘れてないよ。』
暑苦しいクロムの演説に耳を押さえながら
煩いと言うA。
クロムがいくら科学の面白さを主張した所で
同じように心に響く人は少ないだろう。
なんたって人の主張は人の数だけあるのだから。
みんな同じ意見になる方が珍しい。
ましてやあの自分が生き残る事にしか
興味のない男だ。
いくらクロムが話をしたところで
軽くあしらわれるに決まっている。
「いや〜〜熱いねー…青年の主張。でも残念。俺はそうゆうの無いんだクロムちゃん。世界一ペラッペラな男でね。自分の損得しか見てないのよ」
『…………(わかりにくい言い回しをしやがって)』
それだけ言うとゲンは発電機の方へ歩いていった。
倉庫内ではコハクの堪忍袋が爆発し今にでも
ゲンに飛びかかろうと言う勢いだった。
それを千空が止める。
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作者名:辰砂 | 作成日時:2020年2月5日 2時