沈黙のアレキサンドライト (ページ28)

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雷独特の音と共にやって来たのは雷雲。
どす黒い雲がもうすぐこの近くを
通過しようとしている。

そのタイミングの良さにクロムは幸運だと喜ぶが
全く準備をしていないのでバッドタイミングである

村の住人は雷の音と共に居住区へと走り出す。

確かに雷に撃たれれば一溜りもない。
村の住人の中で雷に撃たれて命を落とした人もいる

この何も無い世界での大いなる自然の力と
言うものは凄まじい。

千空は鉄の棒に雷を当てて強力な磁石を作ると言う
天然者の磁石では磁力が弱すぎて発電は出来ない

この機会を逃してしまえば
いつまた雷雲が来るかわからない。

絶対にこの機を逃してはならない。

鉄の棒にウルシをたっぷりと塗りたくる。

速攻で銅を溶かし銅線を作る。
緊急事態なので許可なく橋の一部を拝借する。
溝を掘りそこに溶かした銅を流し込む。

冷えて固まった銅線をウルシの塗られた鉄に
ぐるぐると巻いていく。

居住区では橋の一部を拝借した事を
破壊していると思い少し慌て出す。

それを見ていた村一番の怪力、マグマが
子分を率いて橋を渡って此方へ移動してきた。

「ヤベーマグマだ！！」

「話の通じる男では無い！戦いは避けられんぞ……！！」

『………』

迷っている間にもマグマ達は此方へ向かって来ている

「今村と全面戦争したら詰みじゃねえか！クッソなんとか……」

『……仕方ない。"村の掟"に背く事になるけど、私が…』

「やめろアレキ！そんな事したら君が……！」

「…ん～～！しゃあないねこりゃ。巻き込まれて殺されんのとかカンベンだしね」

そう言ってあさぎりゲンはアレキの前に
立ってスイカに花束を要求する。

『…相手は全てが筋肉で出来ている阿呆だぞ。木の枝のような君が太刀打ち出来るとは思えないけど？』

「いやいや、戦争より、花でしょ」

あさぎりゲンは花を持って橋の真ん中にいる
マグマ達に差し出した。

この状況で奇行な行動に皆が動揺する。
マグマ達に至っては見た目通り喧嘩腰である。

自分から殺されに来たのかと言うが
自分達は雷を妖術で消そうとしているとホラを吹く

「こんな風にね。」

一瞬でゲンが持っていた花が
マグマ達の目の前から消えた。

橋にいるマグマ達には見えないのだが
ゲンの後ろにいるアレキ達には丸見えだ。

「アレで見えていないのか？マグマ達は！」

「バックパームとか言う技だ。ククク、やるじゃねぇかインチキマジシャン…！！」

『私が暗器を隠す時に使う技術と似てる…(今度アレもやってみよう)』