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『私は薬師だ。代々巫女様に生涯を捧げる家系に生まれた1人。その技術を途切れさせない為の一貫で子孫を残す事と思ってるから。』
「…………」
「出た出た〜。アレキの常套句」
「そんなのつまらないじゃん?」
「女に生まれたんだから、楽しく生きようよぉ!」
『………………』
「ちょこーっと笑いでもすれば美人なんだから男は寄ってくるってぇ〜」
まるで人形のようにアレキの頬を突いたり
髪の毛を梳かしたりしてくる3人。
『(早く、帰りたい)』
そのあとなかなか離してくれなかった3姉妹を
なんとかあしらってルリの薬を調合し
巫女殿へと足を進めた
『本日のルリ様への薬をお持ちいたしました。』
両手を袖の中へ入れて膝をつき首を垂れる。
村長のコクヨウから許可が降りれば階段を登り
巫女ルリの元へ薬を渡す。
『今日の分の薬です。』
「今日は少し遅かったな。」
『少し服が汚れたので着替えておりました。』
ルリの脈と体温を測る。
顔色を見れば今日はあまり体調が良くない
日に日に弱っていくルリの姿を見るたびに
自分の無力さに腹が立つ。
なんとしても袮木男が言ってきた万能薬を
完成させてルリへ投与しなければ。
「アレキ…村の外からきた人と何やら交流があると聞きました。」
『……安心してください。悪い病原菌を持っているわけでは無いので』
「一体何者なんだその余所者は!!何処から現れた!?」
『……詳しい事はわかりません。聞けばコハクお嬢様の拾い物だとか』
「ふざけるなA!お前程の者があんな怪しい奴を生かしている事が不思議でたまらん!!何故生かしている!?」
『……失礼ながらコクヨウ様。あの輩は"コハクお嬢様の拾い物"。…それに話を聞けばお嬢様の"命の恩人"と聞いております。お嬢様の命を救った輩を理由もなく始末出来るほど私は"まだヒトの身"であります』
「………………っ!?」
アレキの言葉にぐっと唇を噛み締めるコクヨウ。
ルリは心配そうにコクヨウとアレキを見つめるが
咳が出始めて蹲ってしまう。
「ルリ!?」
『っ触るな!』
駆け寄るコクヨウに触れるなと制して
すぐにルリを横向きにさせて寝かせる
今日はいつもより体温が高い、呼吸も早い
痰に血が混じってはいないが、そろそろ彼女は
限界が近い
「アレキ……」
『大丈夫だから、絶対私がなんとかするから』
外気温も高く、自身の体温も高いので
脱水症状や熱中症に十分気を付けなければ
今のルリは免疫力は極めて低い
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作者名:辰砂 | 作成日時:2020年2月5日 2時