沈黙のアレキサンドライト (ページ16)

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スイカは千空の行動に心を打たれて
張り切って砂鉄集めを始めた。

「スイカはいっぱい取るんだよ！黒い砂！！」

「"桃太郎"かよ！？溺れんなよ！！」

「！？」

千空がクロムの言葉に手を止めた。
ドラクエモンハンは知らないのに何故"桃太郎"は
知っているのか？

「誰に聞いた？」

「おぅ！千空も知ってんのか、桃太郎」

「ルリ姉がいっぱいお話してくれたんだよ！」

「考えてみりゃゴリラもだ。何で知ってる？野生でいるのか？」

「実物を見た事ないな。」

『…私も無い』

「おぅ、でも桃太郎に出てくんじゃねぇかゴリラ」

「出てこねえよ！！」

3人は頭にハテナが浮かぶ
村の巫女であるルリから聞いた桃太郎という話には
黍団子と言う摩訶不思議な団子によって
猛獣を手下にて鬼を退治したとの内容なのだが

「キビ団子で仲間にゲットしただろ？」

『熊、ライオン、ゴリラ、ワニ』

「何だそのワイルド過ぎる桃太郎！？」

『…………………』

コハクもクロムもスイカもルリから沢山の
お話を聞き難しい言葉を覚えたらしい。

「ああでも、アレキは違うか…」

「あ？」

「アレキは薬師だからな。ルリ姉から話を聞いていなくても知っていたか。」

「…薬師と物語の関係性は何だ？」

『……………』

巫女が話す重要な鍵を握る物語。
その物語を村の薬師も知っている？
そこには何の関連性があると言うのだろうか？

千空は片手にスッポンを持つ
無表情の少女に問いかけた。

『村の薬師は代々巫女様に尽す。住人の健康管理もするけど、第一は巫女様。物語だってルリ様ほど知らない。薬師に重要な話だけ聞かされる』

薬師は第一に巫女に尽す。
その言葉から察するに巫女とは村で
1番重要なポジションだという事。
おそらくその物語を語り継がなければ
ならないからだ。
そうなるとますます多々あると予想される
物語の内容が気になる

まるで悪巧みを考える子供の顔をした千空は
巫女ルリに俄然興味が湧いたと言う。

『(……まるで悪人の面だな)』

「何だルリに興味って！？どうゆういみだそれ、千空！」

「あ？」

「千空、千空、千空先生～～」

コハクが小声で千空にクロムはルリに好意を
持っていると伝えれば何かを察した顔をした。

「あ～～…そういう事か。出・た・よ。」

「これでクロムもなかなかお子ちゃまでな。無自覚なのがなかなか尊い」

『そこがクロムの良さでもある。』

「おう、何の話だ！クッソ誰がお子ちゃまだ！」

『…………そーゆー所だよ』