オークション会場 ページ10
薄暗いホール内に入ると
そこにはたくさんの人がいる。
人間のオークションなんて
正直、漫画の中の話だと思っても
気分がいいものじゃなかった。
それを今から実際に見るんだ、と思うと
漬物石でも抱え込んでるかのように
胸の中がずっしり重かった。
それがさらに重くなるものが
私たちの目の前を通り過ぎる。
天竜人。
下々のものと同じ空気を吸いたくないとかで
まるで宇宙服みたいな格好をして
人を人とも思ってない…そんな人達。
創造主の末裔とか言うけど、
末裔は末裔で何も偉くないと思うんだが…。
そう思っていたら、
ユースタス・キッドが腕を組みながら口を開いた。
ｷｯﾄﾞ「天竜人、奴 隷、ヒューマンショップ…」
目の前を通り過ぎる彼らを見ながら
ユースタス・キッドはそれを鼻で笑った。
ああ、この笑顔は怖いほうだ。
ｷｯﾄﾞ「欲をかいた権力者の純心に比べりゃ、世の悪党の方が幾らか人道的だ。クズが世界を支配するから、クズが生まれる。こんなことも分からねえか」
もっともです。
現に主人公は世の悪党と呼ばれる側の
”海賊”って立場ですしね。
よっぽどあの人たちの方が、悪いと思う。
ｷｯﾄﾞ「俺たちは悪気がある分、可愛いもんだなあキラー」
ｷﾗｰ「『違いない…』」
ああ、ついつい一緒になって言ってしまった。
そんな私を、ユースタス・キッドとキラーさんが
両サイドから見下ろしてくる。
『…すみません、つい』
私が縮こまると、ユースタス・キッドは
チッ、と舌打ちをして私を睨み、
キラーさんは構わない、と言ってくれた。
眉なしヤンキー怖いな、本当に。
そんなユースタス・キッドの睨みから逃れたのは
ヒートの言葉のおかげだった。
ﾋｰﾄ「キッドの頭、あれを」
ヒートがそう言って見つめる先には
さっき21番GRでお話したハートの海賊団がいる。
ああ、例のシーンが来るぞ。
ﾋｰﾄ「北の海の2億の賞金首、トラファルガー・ローだ。随分悪ぃ噂を聞いてる」
ヒートがそういった時
ちょうどローがこちらを振り返った。
そしてニヤリと笑うと
ユースタス・キッドに中指を立てる。
ｷｯﾄﾞ「行儀も悪ぃな…」
ユースタス・キッドはそう言ってから
ガシッと私の頭を掴む。
いきなり首に重みがかかって
あわっ！？と変な声が出た。
ｷｯﾄﾞ「A、お前のこと信用してやるよ」
そう言ってユースタス・キッドが
ガシガシと手を動かす。
おおう…撫でるパワーじゃねえ。
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作者名：優梨 | 作成日時：2023年2月8日 9時
