クレヨン ページ47
_・_・_キラーside_・_・_
食事の後片付けをして
キッドとAの様子を見ようと甲板に出ると
壁に寄りかかって目を閉じるキッドの湧きで
画用紙にクレヨンで絵を描くAがいた。
画用紙とクレヨンなんてうちにあったか？
と疑問に思いながら俺はAに声をかけた。
ｷﾗｰ「A、絵を描いてるのか？」
『うん！わいあーがくれた』
ｷﾗｰ「そうか、ワイヤーが…」
ワイヤーがなぜそんなものを持ってたのか…
気にならないと言えば嘘になるが
クレヨンをグッと握りこんで
グリグリと色を塗るAの横顔は真剣で、
いい仕事をしたな、と感心した。
しばらくクレヨンを動かしたあとで
Aは顔をぱっと上げて
笑顔で出来上がった絵を見せる。
『みてー！』
Aの見せる紙には
真ん中にAと、Aより一回り小さな顔、
左には赤い髪の男、右には仮面の男が描かれていた。
ゴーグルも紅もないが、赤い髪の男はキッドだろう。
そして仮面の男は他の誰でもない、俺だ。
ｷﾗｰ「上手く描けたな、A。ところで、これは？」
絵を褒めつつ、
謎の人物を指さしてAに聞いてみる。
Aはにっこり笑って答えた。
『これはね、弟の優人！まだ小さいけどね、おっきくなったら一緒に色んなところに行って遊ぶの！』
そう言ったAの言葉に
そう言えば弟がいると言っていたな、と思い出す。
この世界に来たのも
弟を庇って事故にあったせいだと聞く。
ｷﾗｰ「…そうか、Aは弟のことが好きなんだな」
『うん！私はお姉ちゃんだからね、危ないこととか怖いことから、優人を守ってあげるの！』
ふんす、と鼻息荒く宣言するA。
事故に遭ったときも、
同じ気持ちだったのかもしれない。
俺はそっとAの頭に手を置いた。
ｷﾗｰ「Aは優しいお姉ちゃんだな」
そう言いながらそっと頭を撫でると、
今朝のように怖がることも無く、
Aは嬉しそうに目を細めた。
それから1時間程たったときだった。
再びキッドとAの様子を見に行くと、
そこには未だに目を閉じて眠るキッドと、
そんなキッドの肩に頭を預けて眠る
元の年齢に戻ったAの姿があった。
そうして半日間の子供Aとの時間は
突然に終わりを迎えた。
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作者名：優梨 | 作成日時：2023年2月8日 9時
