面倒見 ページ45
_・_・_no side_・_・_
ｷﾗｰ「キッド、A。昼食の準備が出来たぞ」
キラーが甲板への扉を開いて
そう声をかけながら顔を出した。
そんなキラーの目に入ってきたのは、
甲板で腕を組んでムスッと仁王立ちをするキッドと
そんなキッドによじ登って遊ぶAの様子だった。
無邪気に笑いながらキッドによじ登っていたAが
キラーの顔を見た瞬間に、ピタリと動きを止める。
そして、ぎゅっとキッドにしがみついて
その顔をキッドの背中に隠してしまう。
そんなAを見て、キラーは肩を落とす。
ｷｯﾄﾞ「おい、聞いたか？飯だとよ」
キッドはそう言いながら
自分の背中に隠れるAを掴んで
地面に下ろした。
Aは体の半分をキッドの脚に隠しながら
ちらりと顔を出すとキラーを見上げる。
表情はかなり硬いが、
今朝のように大声で泣くようなことはなく、
キラーはAと視線を合わせるために
その場にしゃがみこんでAを見た。
ｷﾗｰ「A、食事の前には手を洗わなきゃな」
努めて優しい声を出してキラーが言うと、
Aはじぃーっとキラーを見つめてから
おずおずと小さな口を開いた。
『…うん。手、あらう』
そう返事をしたAはまた笑顔を見せて
キッドを見上げた。
『キッド！手、あらう！』
ｷｯﾄﾞ「ﾁｯ…ほら、こっちだ」
キッドが面倒くさそうに船内への扉を開けると
Aはパタパタと駆け足で
キッドの足元をすり抜けて船内に入った。
どこー？と言いながら走るAに
キッドは右の3つ目の扉だ、と教える。
悪態をつきながらもちゃんと面倒を見ているキッドに
キラーは少し、安堵の色を見せた。
『キッドー！ドアとどかない！』
ｷｯﾄﾞ「ったく、いちいち騒ぐんじゃねェ」
『キッド、じゃぐちとどかない！』
ｷｯﾄﾞ「ほらよ、コレでいいだろ？」
ドアノブに手の届かないAに代わって
ドアを開けたり、
洗面台に手の届かないAを抱き上げたり、
その様子は普段のキッドからは想像もつかないもので…
キラーは人知れず、
そんなふたりの様子に微笑んだ。
_
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 158人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：優梨 | 作成日時：2023年2月8日 9時
