アンチエイジング ページ42
ｷｯﾄﾞ「で、そんなくだらねェもん買ってきたのか」
『くだらなくなんてないですー！』
私は船に帰って早々、
ユースタス・キッドに呆れられている。
でも、前に貰ったお小遣いで買ったんだもん！
文句は言わせないんだから。
ふんすふんす、と鼻息荒く
ユースタス・キッドに食ってかかっていると、
横からワイヤーが声を上げた。
ﾜｲﾔｰ「肌が若返ると言ってたが…Aにはまだ必要ないんじゃないか？」
ワイヤーの言葉に周りの船員たちも
そうだそうだと便乗している。
でも油断大敵だ。
『甘いですね。20歳を過ぎれば、手を抜いただけもろに見た目に出るんです！私だって10代のお肌に戻る努力をしなきゃ』
私の言葉に、みんながポカン、と口を開けて
間抜けな顔をしている。
そこに1人、冷静に声を上げたのは
我が海賊団No.2 キラーさん。
ｷﾗｰ「そう言えば、Aはいくつなんだ？」
『言ってませんでしたっけ？21歳です』
私がキラーさんの問に答えると
周りからは、えー!?と驚きの声が上がった。
ユースタス・キッドに至っては
嘘つけェ!!と怒鳴るほど。
ｷｯﾄﾞ「てめェが俺と同じ歳な訳ねェだろ！」
ユースタス・キッドの言葉に
周りの船員たちもウンウンとうなずく。
確かに、元の世界でも
時々未成年に間違われた。
けどそれは、染めたことの無い黒髪や
今のナチュラルメイクのせいだ。
服装だってこの大海賊時代、
何かあった時に、と思って
オシャレよりも動きやすさを重視してるせいで
大人っぽさは無い。
まぁ…キッド海賊団の女性たちはみんな
手足が長かったり、
服装も派手で大人っぽい。
男性クルーたちが島に停泊する度に
夜の街を連れている女の人達も
とても色香の漂う大人な人達ばかり。
だから、私が21歳に見えないって言われても、
それはそれで納得する。
結局、私が21歳であることを
船員たちが半信半疑のまま
ヴィクトリアパンク号は夜を迎えた。
私は風呂を済ませて就寝前、
自室で購入した美容サプリ？を服用する。
「寝る前に飲むと次の日の肌がまるで赤子のようにぷるぷるだよ」
おばあさんの言葉を思い出す。
せめて、高校時代の
つるつるすべすべの肌になりますように。
そう祈りながら、私は瞳を閉じた。
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作者名：優梨 | 作成日時：2023年2月8日 9時
