ただいま ページ38
港に出るとすぐに
ヴィクトリアパンク号が見えた。
そしてヴィクトリアパンク号の傍には
丸一日会えていなかった
キッド海賊団のみんなが居る。
みんなの姿を見て、
私は思わず走り出した。
ユースタス・キッドを追い越して
手を振りながらみんなに駆け寄る。
『みんなー！』
「Aっ！」
「A〜っ！！」
私の声に応えるように
皆も私の名前を呼びながら駆け出す。
そして、いの一番にダイブが
その小さな体で私に飛びつくと
ヒップとホップ、クインシーと
女性クルーが続けざまに私を抱きしめた。
「A、無事でよかったよ！」
「心配したんだから〜!!」
『ごめんなさい、ご迷惑おかけしました』
かけられる言葉に
丁寧に返すと…
「迷惑とは思ってない」
そう声がして、
私は顔を上げた。
そこにはいつもの鉄仮面姿の
キラーさんがいた。
ｷﾗｰ「けど…心配したぞ」
そう言ったキラーさんは
その仮面の中でどんな表情をしているんだろう。
その表情を見れないのが少し残念だけど…
その声は、心底心配してくれているのが伝わった。
私はダイブたちから離れると、
キラーさんの胸に飛び込んだ。
『キラーさん、心配かけてごめんなさい』
抱きついたままそう言って
キラーさんを見上げると、
キラーさんは私の頭に手を置いた。
そして子供をあやす様に
ポンポン、と撫でる。
ｷﾗｰ「おかえり、A」
キラーさんは私の頭を撫でながらそう言った。
それが心地よくて、
やっぱりお兄ちゃんって感じだな〜。
なんて思いながら
私はキラーさんに笑顔を見せた。
そして、キラーさんに抱きついていた腕を離し、
みんなの顔をゆっくり見渡した。
『…みんな、ただいまっ！』
「「おかえり、A!!」」
私の言葉にクルーたちの声が重なる。
そんなみんなの声に
私は嬉しくなって微笑んだ。
そして目の前のヴィクトリアパンク号を見上げる。
うん、やっぱりここが
この世界での私の居場所。
私の帰る家。
キッド海賊団のみんなは
私のこっちの家族。
優人とはまた別の、大切な人たち。
私がそう思いながら
ヴィクトリアパンク号の船首を見上げていると
不意に頭に大きな手が乗って、
ガシガシと乱暴に撫でられた。
驚いて振り返ると
そこにはユースタス・キッドが居た。
ｷｯﾄﾞ「A、いつまでその胸糞悪い服でいるつもりだ。とっとと着替えてこい」
はーい！と元気に答えて
私は我が家へと入っていった。
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作者名：優梨 | 作成日時：2023年2月8日 9時
