大きい背中 小さい背中 ページ37
ローとペンギンが消えると
ユースタス・キッドはﾁｯと舌打ちをする。
そして、帰るぞ！と言いながら踵を返した。
約1ヶ月ぶりにクラッチバッグのように
小脇に抱えられながら移動すると
ユースタス・キッドの1歩ごとに
ゆさゆさと視界が大きく揺れる。
あ〜シャボンディのデジャブだ…。
私はユースタス・キッドを見上げて
恐る恐る声をかけた。
『あ、あの…自分で歩けます』
ｷｯﾄﾞ「あ？」
『ナンデモナイデス、スミマセン…』
ユースタス・キッドが般若のような顔で
こちらを見下ろすもんだから
怖くなって即座に謝った。
あまりの形相に、カタコトだったのは仕方ない。
と思っていたら、不意に自分の足が
地面にトス、とついた。
そのまま自分の足で立つと
ホールドされていた体も自由になった。
ありがとう、とユースタス・キッドを見上げると
ユースタス・キッドはじっ、と私を見て
何かを言いたげな表情をするくせに何も言わない。
『あ、あのー…？？』
たまらなくなって私の方から声を上げると
ユースタス・キッドは大きなため息をついてから
ふいっと顔を背けてやっと口を開いた。
ｷｯﾄﾞ「…身体はなんともねェのかよ」
大きなガタイに似合わない小さな声に、
思わず返事をするのを忘れて
背けられた斜め後ろ顔をまじまじと見つめてしまう。
表情は見えないけど
いつもより小さく見えるその背中が
いつもより近く感じた。
なんだ…。
ちゃんと心配してくれてたんだ。
『…うん。何ともないよ』
ｷｯﾄﾞ「…そうか」
『でも胃腸の機能が落ちてるだろうから、今日の食事は消化にいいもので済ませた方がいいみたい』
ｷｯﾄﾞ「…そうか」
私の言葉に、覇気のない声で相槌を打ちながら
ユースタス・キッドは港に向かって歩く。
ぶっきらぼうだけど、
ちゃんと気遣ってくれているのがわかるのは、
私を抱えてた時よりゆっくり歩いて、
歩幅を私に合わせてくれているから。
そんな彼のぎこちない優しさに
思わず頬の筋肉が緩んでしまう。
にやけているのがバレないように
彼より一歩後ろを歩きながら
一日ぶりの再会を噛み締めた。
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一日で200〜300閲覧つくってマ？
いや、とても有難いです。本当に。
読んでくださりありがとうございます。
そろそろ年度末の仕事が落ち着くので
できるだけ毎日更新しようと思います。
できるだけ、ね？
今後とも宜しくお願いします！
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作者名：優梨 | 作成日時：2023年2月8日 9時
