何でそうなった？ ページ4
ｷﾗｰ「キッド、彼女はどうやら本物の異世界人みたいだぞ」
スマホから顔を上げたキラーさんは
ユースタス・キッドにそう言った。
ユースタス・キッドは面白くなさそうに顔を背けて
ｷｯﾄﾞ「…どうやらそうらしいな」
と吐き捨てるように言う。
うちの弟はこんな悪態つく人の
どこがそんなに好きなんだろうか。
まぁ、悪態をつかれてもどうしようもないので、
私はただ2人の顔をボーッと見ていた。
するとキラーさんが私の顔を見る。
ｷﾗｰ「異世界人なら、この世界に行くあてはないんじゃないか？」
その言葉に、そう言えば…
と私は固まった。
麦わらの一味ならまだしも
こんなガラの悪い人が船長の船なんて
見ず知らずの私を乗せてくれるわけないしな。
『確かに…これは、困りましたねぇ』
私がそう言うと、すぐさまキラーさんの
あんまり困ってそうに見えないぞ
という突っ込みが入った。
私だってまだ半信半疑なのだ。
これが夢なのか、現実なのか。
でもまあ、夢なら覚めるまで、
現実ならば元の世界に戻るまで、
この世界のどこかで生きていかなければならない。
これが夢だろうと現実だろうと
行くあてがないのは困ったことに変わりない。
『どうしよう…かな』
私がポツリと呟くと
キラーさんは、キッド、と
ユースタス・キッドに声をかけた。
名前を呼ばれただけなのに
ユースタス・キッドは何かを察したようで
ｷｯﾄﾞ「構わねえ。異世界人なら全く役に立たねえって訳でもねえだろうしな」
そう言った。
異世界人なら多少は役に立つと思っているらしい。
…なんで？
私が不思議に思って首を傾げていると、
隣でキラーさんの表情がフッと柔んだ気がした。
見えないから本当にそんな気がしただけだけど。
ｷﾗｰ「そう言えば、まだ名前を聞いていなかったな」
キラーさんにそう声をかけられて
私は慌てて自己紹介をした。
『ご挨拶が遅れてすみません。Aです』
ｷﾗｰ「Aか。俺は…」
『キラーさんですよね？で、あれはユースタス・キッド』
あれ、と言いながら
私はこの船の船長を見た。
ｷﾗｰ「さすが、異世界人だな」
キラーさんは名乗らずとも名前を当てた私に
改めて感心したようだった。
そして驚くことを口にする。
ｷﾗｰ「今日からAも、うちのクルーだ。よろしくな」
はい？？？
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作者名：優梨 | 作成日時：2023年2月8日 9時
