証明って言ってもねえ ページ3
その後、キラーさんに
ユースタス・キッドが
私の現れた経緯を説明した。
私目線は目が覚めたらここに居たんだけど、
ユースタス・キッドが言うには
何も無い甲板で何かを蹴り飛ばした感覚があって
足元を見てみると
うっすらとだんだん私が浮かび上がってきたらしい。
そして私もキラーさんに説明をした。
ｷﾗｰ「つまり、弟を庇って死んだと思ったら、甲板で目が覚めた。そして、ここは自分の住む世界とは違う世界だと？」
私の話を聞いたキラーさんが
簡単に話をまとめる。
ここが漫画の世界で、
あなた達は漫画家先生の作り出した架空の人物だよ
なんてことは言っても理解されないだろうし
と思って言わなかった。
けれど、私の言葉に
キラーさんは半信半疑のようだ。
ユースタス・キッドに至っては
そんな話信じられるか！と
先程からキラーさんの隣で吠えている。
ｷｯﾄﾞ「てめえの言うことが本当だって、証明しろ！」
なんて言い出す始末だ。
証明ったって…私の彼らに対する知識は
カレーうどん絡みしかないし…。
どうしようかな、と悩んでいた時に
ふと、スマホの存在を思い出す。
スマホも持ってこれてるかな？
とポケットに手をねじ込むと、
何ともまあ、都合のいいことに
スマホはちゃんと入っていた。
『私のスマホ…んー、なんか証明になりそうな写真とかあるかなぁ？』
私はそう言って写真を見返す。
そんな私の手元を、
何だこのツルツルした板！と
ユースタス・キッドがグイッと覗き込む。
スマホという文明のない彼らにとっては
これも1種の証明になるのか？
『私の世界の通信機器です。元の世界では、でんでん虫の代わりにもなりますよ。こっちの世界じゃ使えないみたいですけど』
スマホの右上には圏外と表示されている。
そして、仕事帰りだったこともあるのか
バッテリーも20%を切って赤く表示されていた。
『すみません、なんかろくな写真なくて…証明になりそうなものが全然見つからない』
私がそう言って顔を上げると、
キラーさんはいや、と声を上げた。
ｷﾗｰ「こんな小さくて薄いツルツルした板に、これだけの写真があるのが十分証明になっている」
そう言って、キラーさんはちょっといいか？と
遠慮がちに私の真似をして
ディスプレイに指を滑らせる。
すると別の写真に切り替わり、
またキラーさんが指を滑らせると
新しい写真が現れる。
キラーさんはそれを見て、感嘆の声を漏らした。
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作者名：優梨 | 作成日時：2023年2月8日 9時
