うちに来い ページ18
口の中での暴発をきっかけに
ユースタス・キッドとローの猛攻が始まって
それからは早かった。
悪口の押収を繰り返しながらも
着実にパシフィスタにダメージを与える様子は
まるで映画のワンシーンを見ているみたいで…
たしか、2年後に再会したあと、
こんな風に共闘するらしい。
…らしい、というのは実際に私が見たわけじゃなく
弟の優人が言ってるのを聞いただけだから。
そして全てが終わると、海軍の追手から逃げるため
ユースタス・キッドが倒れた仲間を抱えた。
ｷｯﾄﾞ「船に戻るぞ。負傷者には手を貸してやれ」
ユースタス・キッドの言葉に
みんなが動き始める。
私も、パシフィスタの脅威が去って
自分の足で立ち上がった。
そのとき…
ﾛｰ「”ROOM”」
何度も聞いたことのあるその声が
どこからともなくしたかと思うと
私は一瞬のうちにハートの海賊団に囲まれていた。
私の目の前にはペンギンとシャチがしゃがみこみ
私の顔をのぞき込んでいる。
その後ろにはローがニヤリと笑って
私を見つめていた。
ﾛｰ「ユースタス屋には”A”と呼ばれていたか？…異世界人」
その言葉にパチクリと瞬きをする。
キラーさんが言ってた通り、
私の言動でローには私が異世界人だとバレたらしい。
私はどうも、と軽く頭を下げる。
『さっきはパシ…、くまから助けていただいてありがとうございます』
今更取り繕うのも遅いとは思ったけど
パシフィスタの説明も面倒だと言い直した。
お礼を言ってさっさと立ち去ろうと
後ろにジリジリと下がれば
ぽふっと暖かく柔らかい感覚が背中に伝わる。
このフワフワもふもふ具合は…
『ベポ！』
振り返った私は大きなシロクマを見上げて
声を上げた。
私からぶつかったのに、
ベポはすんません、と声を漏らす。
ﾍﾟﾝ「あ〜、異世界人ってことを否定しないんだ」
ｼｬﾁ「異世界人ならドレークの件も、俺らの名前を知ってる件も説明がつくな」
背後から聞こえる声に
私はペンギンとシャチを振り返る。
するとローが口を開いた。
ﾛｰ「A屋、うちに来い」
『…なんで？』
思わず言葉が漏れる。
キッド海賊団も、ハートの海賊団も
なんで私を船に乗せようとするのか…。
それも、私が異世界人と知ってから。
『…異世界人に、どんな利用価値があるっていうの？』
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作者名：優梨 | 作成日時：2023年2月8日 9時
