思わぬ敵 ページ16
ｷｯﾄﾞ「これでひとまず陣形もクソもねぇだろう」
散々暴れ回ったあと、
ユースタス・キッドがそう言うと
残った海兵たちは一斉にオークション会場へと
突っ込んできた。
いやいや、コレは一般人の私には
さすがにキツくないですか？
そう思って半歩後ろに下がると
トン、と背中に何かが当たる。
振り向くとワイヤーが立っていた。
ﾜｲﾔｰ「そろそろ行くみたいだ。キッドの頭に続く。離れるなよ、A」
是非とも守ってもらいたいので
可能な限り離れませんとも。
ｷｯﾄﾞ「行くぞお前らァ!!!」
「「おう!!!」」
ユースタス・キッドの声に反応して、
キラーさん、ヒート、ワイヤーが
海兵たちに突っ込んでいく。
みんな当たり前のように強くて
私はみんなの後ろを歩くだけ。
誰に襲われることも無く
オークション会場から逃げることが出来た。
船へ向かって歩きながら
キラーさんが口を開く。
ｷﾗｰ「Aの言ってた通りになったな。ここに海軍大将が来るとは。それと他に誰が来るんだったか…」
『ああ、パシフィスタです』
私の言葉にキラーさんだけでなく
ヒートやワイヤーも何だそれ、
とでも言うように眉を寄せた。
その様子に、ああ、そうかと1人で納得する。
ここで初めてパシフィスタが登場したから、
みんなはまだ知らないのか。
『パシフィスタって言うのは…』
説明しようとして私が口を開いたその瞬間、
ユースタス・キッドがなにかに気づいて身構えると、
その腿を鋭い光線がピュン、と掠っていく。
ｷﾗｰ「キッド!!」
ﾋｰﾄ「キッドの頭!!」
ユースタス・キッドは
光線が飛んできた方を見上げながら
その眉間に皺を寄せる。
そして今日見た中で一番の余裕のない表情を見せた。
ｷｯﾄﾞ「何で…この島に”七武海”がっ!!!」
その視線の先にいるのはバーソロミュー・くま…
のように見えるが違う。
いつも持ち歩いている聖書を持っていないし
くまが現れるのは麦わらの一味の所だ。
つまり…
『アレです！』
私は目の前のくまに見えるそれを指さした。
『アレはくまじゃない。パシフィスタ。海軍が造り出した兵器です』
私がそう言えば、
その場の全員がチラリと私を見た。
あれが兵器？と半信半疑な様子を見せる人もいるけど
今にわかるはずだ。
パシフィスタの兵器としての怖さが。
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作者名：優梨 | 作成日時：2023年2月8日 9時
