安心と不安 ページ11
そして遂に
”人間の”オークションが始まった。
最初の人は60万ベリーで落札された。
さっき服や日用品を買ったから
ベリーは円と同じような単価なんだと認識たけど…
人間が60万？？
馬鹿げてる。
それを見て私はすでに
このオークションを見るのが嫌になってきた。
ちらりとユースタス・キッドを見ると
彼の方は全く表情を変えていない。
これが彼らの生きる世界なのか、と痛感する。
それに…、オークションは始まったのに
麦わらの一味はまだ来ていないみたいだった。
ケイミーちゃんを助けに来るはずなのに…
オークションに途中から参加するんだったっけ？
細かいところまで覚えてないから、
胸糞の悪さに加えて焦りまで覚えてきた。
『あ、あの…ユースタス・キッド、さん』
私は恐る恐る彼に声をかける。
彼は返事はしないが
私に視線を向けた。
『もし…もし良かったらなんだけど、人魚の女の子を、落としてもらえたり…しませんか？』
ｷｯﾄﾞ「…人魚？そいつを競り落としゃ、何かあんのか？」
ユースタス・キッドの言葉にうっ、と詰まる。
ケイミーちゃんを競り落としたくても
きっと天竜人が金額を乗せてくる。
膨大な金額で競り落とせたとしても
私はケイミーちゃんをはっちゃんたちの元へ
返してあげたい。
競り落とすことの利点なんて
彼らにはこれっぽっちもない。
『そ、それは…えっと、』
私が言葉に詰まっていたその時、
オークション途中だと言うのに、
会場の扉が開いた。
そしてそこから、心強いメンツが顔を出す。
『あ…麦わらの一味。…、よかった』
安堵から大きな息が漏れた。
全身の力が抜けて、私はその場に座り込む。
ｷﾗｰ「A、どうした？」
ﾜｲﾔｰ「大丈夫か？」
『あ、大丈夫です。ちょっと安心したら力抜けちゃって…。さっきの話、もう大丈夫です。忘れてください』
私がそう言うとユースタス・キッドは
面白くなさそうな顔をする。
けど、この安堵感はどうも隠せそうになかった。
しかし、そこに再び扉が開いた。
そこから入ってきたのは…
「こいつ本当にムカつくえ！この！このっ！！」
天竜人、チャルロス聖。
私が唯一名前を覚えている天竜人だ。
彼は連れてきた奴 隷だという男を蹴りつける。
何度も何度も頭を蹴られ、
彼は血を流しながらその場に倒れた。
その血に、私の心臓が早鐘を打つ。
私は自分の腕をさすりながら、
その光景から目を背けた。
_
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 158人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：優梨 | 作成日時：2023年2月8日 9時
