なんだ、夢か ページ2
頭の上で何やら大声が聞こえる。
聞き覚えのあるような無いような、
そんな声にゆっくりと目を開けた。
ｷｯﾄﾞ「おい！いつまでそうしてるつもりだ、テメェ！」
目を開けた先に見えたのは
真っ赤な髪と、額に付けられたゴーグル、
眉のないガラの悪い目で私を睨む
ユースタス・キッドの姿。
国民的人気漫画の、
優人が好きなキャラクターだ。
優人の部屋にフィギアも飾ってあった。
ん？ユースタス・キッド？？？
私はパチパチと瞬きをする。
うん、どっからどう見てもユースタス・キッドだ。
ｷｯﾄﾞ「おい、聞いてんのか？」
ただでさえいかついその目を吊り上げて
ユースタス・キッドが私を睨む。
そんな彼の視線と自分の視線が絡まって数秒…
『あ、そっか、夢見てんのか』
私はそう結論づけて立ち上がった。
そして周りを見渡すと、
島ひとつ見えない水平線。
これはきっとユースタス・キッドたちの船、
ヴィクトリアパンク号だったかな？
その甲板にいるんだと気づいた。
『私、キッド海賊団はあんま知らないのに、夢の再現度高いなぁ』
そう呟きながらマストに掲げられた帆を見上げる。
私がちゃんと漫画やアニメを追っていたのは
もう数年前のことで
就職してからはあまり見てなかった。
それなのに、よく私の頭は
ヴィクトリアパンク号を再現出来たな。
ああ、でもそうか…
弟に連れられて映画は見に行ってたし、
しょっちゅう家でもスタンピード見てたしな。
それで覚えてたのかな？
なんて思っていたら
ぐいっと肩を掴まれ振り向かせられた。
ｷｯﾄﾞ「勝手に夢だと決めつけんじゃねえ！現実だ！！」
そう言いながらユースタス・キッドが
私の首に手をかけた。
グッと力を入れられて息苦しさとともに
喉に食い込む指が痛い。
痛いんだ、夢なのに。
ｷﾗｰ「キッド、やり過ぎだ」
別の男の人の声に、
ユースタス・キッドはチッと舌打ちをして
私の首を解放する。
ケホケホと咳き込みながら
私はぺたりと甲板に座り込んだ。
ｷﾗｰ「で、一体どういう状況だ。キッド」
彼が来なければ、
私は首を絞められ窒息死していたのだろうか？
それとも、あのまま
首の骨をおられて死んでいたのだろうか？
何はともあれ、私が助かったのは
ユースタス・キッドを止めてくれた彼の相棒、
殺戮武人 キラーさんのおかげだ。
夢ならば頼むから覚めてくれ。
どうせならもうちょっと治安のいい
ほかの海賊のところで夢がみたい。
_
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 158人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：優梨 | 作成日時：2023年2月8日 9時
