Prolog ページ1
その日の私はついていた。
残業もなく定時退社ができたし、
定時退社だとギリギリ乗れない電車が
偶然少しだけ遅延していて
いつもの1本前の電車に乗れた。
駅を出てから家に向かう帰路、
信号待ちに合わなかった。
今日は久しぶりにビールでも飲もうかな
なんて考えながら
自宅付近の交差点まで帰ってきた。
すると、ちょうどそこに
最寄りのコンビニから出てくる弟を見つける。
スマホを見ながらコンビニを出た弟に声をかける。
『優人、おかえり』
弟の優人は、私の声にスマホから顔を上げた。
私の顔を見ると、目を細めて
白い歯を見せながら笑った。
「ねえちゃん、今日は早いじゃん」
そう言いながら、私の元へ駆け寄る。
そのとき、
＿＿＿キキーーーッ
と耳を塞ぎたくなるような音が響いて、
私と優人は音の方に顔を向けた。
そこには交差点でトラックと衝突した
1台の乗用車が優人へ向かって突っ込んできていた。
一瞬の出来事のはずなのに、
それはゆっくりと優人に向かっていくように見える。
ほとんど無意識で、私は腕を伸ばしながら
最愛の弟である優人に向かって走り出した。
『優人っ！！！』
無我夢中で優人を力いっぱい突き飛ばす。
次の瞬間、私の視界はぐるぐると回り、
体がアスファルトに叩きつけられた。
優人…、私のたった1人の弟。
かなり強く突き飛ばしたけど、
怪我してないかな？
大丈夫？
ちゃんと無事なの？
優人の名前を呼びたいのに、
私の喉は細い息が通るだけで精一杯で
なんの声も出なかった。
全身が痛む中、
何とか薄らと目を開ける。
霞む視界の中で、たくさんの人影が動いている。
その中に、フラリと立ち上がる優人を見つけた。
立ち上がった優人は
口を大きく開いて何かを言いながら
私に駆け寄った。
何を伝えようとしてるのかは分からないけど、
とにかく無事でよかった。
本当に、良かった。
今日の私がついていたのは
きっと優人を守るためだったんだね。
1分でも、1秒でも遅れていたら、
きっと助けられなかった。
優人の無事な姿を見た私は
安心して微笑んで、重くなる瞼に抵抗できず
ゆっくりと目を閉じた。
_・_・_・_・_・_・_・_・_・_・_・_
A：21歳
優人：18歳
高校卒業後、就職し
現在は弟の優人と2人暮らし
身長：165cm
肩下まで伸びた黒髪は緩いパーマがかかっている
クリっとした大きな瞳に小さな鼻と薄い唇
清楚系可愛い子
その他の設定は物語とともに…
_
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 158人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：優梨 | 作成日時：2023年2月8日 9時
