純情可憐バトン Hidaka.U (ページ3)

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午後5時半。

軽くファーストフード店でご飯を済ませ、いつも通り塾へ向かう。

高1の春から塾に行き始めた。

今日は英語。

毎日テストがあるから、電車の中で参考書と睨めっこ。

あ、関係代名詞の変換全然出来ないぞ...？

『次は～星田～星田お降りの際は·····』

降りる駅のアナウンスを聞いて、参考書に目を留めたまま電車を降りる。

片手に開く参考書、片手にはサマ○サの定期。

ちょっと急ぎ足で塾へ向かう。

んー、待って、目的格の時は省略するの···？

ブーツのヒールをカツカツ鳴らしながら開けた塾の扉。

·

『おわっ！』

「きゃっ··！」

扉を開けた瞬間、誰かに激突。

反動で飛ばされて少し遠くへ落ちる参考書。

激痛の走る足首。

「す、すみません...！」

ああ、何も見ずに扉を開けたからだ！

なんてちょっと反省しながらおずおずと首をあげる。

足首が猛烈に痛いけど、自分が悪かったんだ、それは仕方ない。

「大丈夫？怪我してない？」

あ、この人！

芽衣が話していた、青高校の...誰だっけ...

「大丈夫です、私こそ本当にすみません。」

そう言って大丈夫なふり。

後で保健室行こっと。

ああ、これじゃテニスは2週間出来ないかなあ、なんて考えながら、心配かけたくないからイケメンくんが去ってくれるのを待つ。

『そう...？じゃあ、ほんとごめん。』

イケメンくんが去っていこうとしたその時。

.

『だめだめ、那須、この子足挫いてるよ！』

突然、ちょっと高いハスキーな声がして。

ぱっと振り向くと。

カッと開く瞳孔、思わず髪を抑える。

うわあああああ！

戻ってくる乙女ゴコロ。

だってそこに居たのは。

『大丈夫？もーう、ちゃんと怪我は言わないと。』

フォローしたばかりの、あの浮所くんがいたから。