回想(告白)10 ページ16
Aは思考が停止した。待ってくれ、降谷は今何を言った?降谷が自分を好きだと?
「あ、あああ、ありえません!ふ、降谷さんが、わ、私を好きだなんて…!」
「あり得なくない。俺はAの事が前から好きだった。」
自分は夢を見ているのだろうか。あぁ、そう思えば今まで見た事ない降谷さんを今日は沢山見ている。こんな自信なさげな表情をする降谷さんなんて今まで見た事ない。
「ゆ、夢……。」
「夢じゃない!」
降谷はAの両頬をムニーーと抓った。
「いひゃひゃひゃ(痛たたた)、ゆめひゃない(夢じゃない)。うぅぅぅ…」
「うわっ!どうして泣くんだ…」
いきなり大粒の涙を流し始めたAに降谷はギョッとした。
「うぅぅ…、わたしずっと降谷さんのことを想っていました。でも、降谷さんのような方が私なんか好きになるはずがないって思ってて…」
「ハァ、何でそんな思考になるんだ。俺がお前を好きだと、事あるごとにアピールしていたつもりだったんだが…。」
「そんなこと全然気付きませんでした、もっと大袈裟にやってくださいよぉぉ…」
うわーん!と泣き出すAに降谷は頭を抱えた。どうやら彼女は嬉し泣きしているらしい。そしてサラッと彼女も自分のことを想っていたと告白した。なんだ、両想いだったのだ。
(もし俺だけの一方的な好意だったら、振り向かせると言おうと思っていたのに…。)
その必要はないようだ。
もう、他の男と一緒にいる度にヤキモキすることにウンザリしていたのだ。
こんなに子供のように泣くAは初めて見た。以前、職員が殉職した時、誰にも見つからないように資料庫の隅でさめざめと泣くAを見つけたときに、綺麗だと思ったことがあったが、今のAは可愛いと思った。
降谷はAを優しく抱きしめると頭を撫でた。
「降谷さん、私も貴方が好きです。ずっと前から。」
「俺の方が先に好きだった。」
「いいえ、私の方が先です。」
「絶対俺の方が先だ。」
「いいえ!」とまだ食い下がるAの唇を降谷のそれで塞いだ。Aは目を見開くとそのまま静かになった。
「両想い。それでいいか。」
「はい…」
涙で目を濡らしながら微笑むAの美しさに降谷は見惚れると、そっと彼女の頬を撫でた。
「今日言うつもりじゃなかったんだが…松田にしてやられたな…。」
今度メシでも奢るか、と降谷は微笑んだ。
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yuni - とても面白いです……6年間どこで何してるか気になる視聴者も居ますがみなさん信じて待っていますよ!ご安心ください。 (4月23日 19時) (レス) id: 17290499f6 (このIDを非表示/違反報告)
きゃらめる。(プロフ) - めっちゃ面白いです!更新まってます! (4月16日 0時) (レス) @page23 id: 8f2ef7bb5c (このIDを非表示/違反報告)
トマト - 胸がキュンキュンしました…。更新は5年前で止まっているのですね…;;とても面白かったです!泣 (6月2日 20時) (レス) id: 39ab5c799a (このIDを非表示/違反報告)
みかん - 続きが…続きがきになる…!!更新停止悲しい、、めちゃめちゃ面白かったです( ; ; ) (2023年4月11日 10時) (レス) @page23 id: 78e34d129f (このIDを非表示/違反報告)
涙愛(プロフ) - 更新停止、、、?? (2021年2月27日 21時) (レス) id: 76bb1db9cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ライス | 作成日時:2018年3月26日 20時