女子高生バンド6 ページ34
Aは鑑識道具を片付けていた。優秀な探偵が3人も揃えば事件解決はあっという間であった。証拠の靴紐を鑑識のビニール袋に入れて片付けると、貸しスタジオを出た。
そこには1人足りなくなったガールズバンドのメンバーがいた。その1人は連行されるところである。誤解が呼んだ悲しい事件だった。もっとお互いに話せていれば起ることのなかった事件。ギターケースを背負う悲しげな背中をAは見つめていた。
何故か世良も同じように、そのギターケースに視線を向けていた。どうしたのかと尋ねる蘭と園子に、「あ、いや…」と世良は二人に答えた。
「ギターケースを背負ってる人を見ると思い出しちゃうんだ。四年前…駅の向こう側のプラットホームにたたずんでいた、ギターケースを背負った秀兄をな!」
懐かしい昔話に表情を緩めながら世良は続けた。
「驚いたよ、秀兄はアメリカに行ってると思ってたし…。んで、どうしても秀兄のギターが聴きたくて同じ電車に飛び乗ったんだ!」
「へー…それでそれで?」
「でも何度か乗り換えた駅のホームで秀兄に見つかっちゃって…『帰れ』って怒られて、『切符買って来てやるから待ってろ』ってボクをホームに残して行っちゃったんだ」
「それで、言われた通り待ってたの?」
「ああ、泣きそうな気分でね。でもその時、秀兄の連れの男がケースからベースを出して、ボクに教えてくれたんだよ」
その人は世良の兄の音楽仲間だったんじゃないかと言う蘭に、世良はベースを入れてたケースが取り出した後も形が崩れなかったことを挙げて、ベースはカムフラージュで別の硬い何かが入っていたのではと推理していた。
その様子をじっとコナンが何かを思案するように見ており、世良に尋ねた。
「その人の名前、聞いた?」
「いや、聞いてないけど…そのホームに来た別の連れの男が、その人のことをこう呼んでたよ」
「スコッチ、ってね」
Aはその名前に弾かれたように顔を上げた。そして視線は自然と安室に向けられた。
安室はいつものポーカーフェイスのまま、世良を見ていた。
スコッチ…思わぬところで彼の名前を聞いた。彼の向日葵のような笑顔がAの脳内に蘇った。握っていた鑑識道具の取っ手にぎゅっと力が入った。
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ライス(プロフ) - とても深いグリーンさん» コメントありがとうございます!ホワイトもお読みいただいて!ありがとうございます。二足の草鞋にした途端に更新がさらに遅くなってしまって申し訳ないですが、更新頑張ります! (2018年3月26日 20時) (レス) id: 558584540e (このIDを非表示/違反報告)
ライス(プロフ) - 羽田莉來さん» コメントありがとうございます!そうですよねー!私も書いてみたいです!今後書けたらいいなぁと思います! (2018年3月26日 20時) (レス) id: 558584540e (このIDを非表示/違反報告)
とても深いグリーン(プロフ) - 最近更新してくださってうれしいです(^^)ホワイトも楽しく読ませて頂いてます。両立は大変かもしれませんが頑張って下さいp(^-^)q応援してます♪ (2018年3月19日 20時) (レス) id: 629a69f0d0 (このIDを非表示/違反報告)
羽田莉來 - 夢主が公安時代の、付き合いたての時のお話がいつか見てみたいです!どっちが、どんな感じで告白したのかとか気になります。余裕がある時でいいので、検討して頂けると嬉しいです。スルーして頂いてもいいです笑 応援してます! (2018年3月15日 23時) (レス) id: 0caa1fa3ee (このIDを非表示/違反報告)
ライス(プロフ) - 友の死回想編は一応完結になります。この話の続きとしてシリーズ1の女子会の回想に繋がります。なかなか更新が遅くて申し訳ないですが、映画までに裏切りのステージやりたいですね! (2018年3月5日 21時) (レス) id: 558584540e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ライス | 作成日時:2017年11月29日 21時